易者ケダマン 「付き合ってはいるけど、結婚するかどうかは分らない。」とマナは言うが、 「周りの人たちに宣言するだけでいいと思うさあ。紙に書いて役所に届けるなんてことしなくても、私達が認めるさあ。」とウフオバーは言うが、俺の考えはちと違う。 「マナ、俺が思うにオマエはよ、紙的にも結婚したほうが良いぜ。」 「紙的って、婚姻届ってこと?・・・いいよ別に。」 「いや、つまりよ、名前を変えた方が良いってことだ。」 「ふーん、あんた姓名判断もできるの?」 「モモタマナって木があるだろう、あれは悲しみを食べる木という言い伝えがある。お前の名前は桃田マナだから、それに通じている。それが、青田という性になればだ、アオタマナとなって青いキャベツという意味になる。瑞々しいってことだ。」 「ふんふん、それはそうだねぇ、青田マナはいいかもねぇ。」とオバーも肯く。 「あのよ、クガ兄とユイ姉なんだが、あいつらの結婚が上手くいかなかったのは名前が悪かったんだぜ。クガ兄は久貝(くがい)って沖縄にはよくある姓だ。ユイ姉は結子(ゆうこ)が本名だ。結婚して苦界遊子だ。どうだ、いかにも不幸な名前だろ?」 −−−ある日のユクレー屋の情景−−− |
語り:ケダマン 2008.3.7 次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島 |