天国の沙汰も 「よー、ゑんちゅ小僧から聞いたぜ、いろいろ悲しい経験したらしいな。」 「まあね、でも、地獄の様なことも、時間が経てば物語みたいになってさ、自分のことじゃないみたいになってさ。そのうち忘れられるかなって。」 「おう、重たい話でもな、他人に話しちまえばいくらか軽くなるぜ。地獄の沙汰も話したいって諺もあるくらいだ。俺も話し相手になるぜ。」 「そう、じゃあ、そうね。今日、店閉めたらさ、ケダマンをお風呂に入れてあげる。体の隅々まで洗ってあげる。私も一緒に入るかもしれない。もちろん裸よ。」 「隅々までって、一緒って、裸って、へっ、へっ、へっ、そりゃあいいな。」 「楽しい?想像するだけで天国にいるような気分になった?」 「うん、なった、なった、なった。涎出そう。」 「じゃあ、はい。お金ちょうだい。」 「お金?何の話じゃい。」 「天国の気分になったでしょ。そのお話の代金よ。天国の沙汰も金次第よ。」 −−−ある日のマナとの会話−−− |
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