別れの朝
 「ケダマン!起きて!」という大声と共に体を揺さぶられた。ユーナである。昨夜はそのユーナの送別会で遅くまで飲んだものだから、体がだるい。
 「えー、今何時だよー。」とモゴモゴ。
 「9時だよ。そろそろ私、行くよ。もう皆も来てるし。」
 「くっ、9時ってオマエ、寝たのは明け方だぜ。もう少し寝かせてくれ。見送りはここでいいだろ。元気でな。」
 「別れの挨拶しようと思ったのよ。」
 「挨拶?うーーー、そうか、しょうがねぇなあ。」と俺は体を起こした。
 「今までありがとね。楽しかったよ。ケンカもしたけどさ、嫌いじゃ・・・」と続けようとするユーナを制して、別れの朝に俺は最後のギャグをかましてやった。
 「ユーナ、もう何もゆーな。」と。
 だけど、ユーナは笑いもせずに黙って背を向けた。しばらく沈黙が続いた。
 「何だ、泣いてるのか?」と訊く。
 「こういう時にそんな親父ギャグなんて、情けない・・・」と呟いた。
   −−−ユーナが島を離れる日の会話−−−
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