旅日和
 「涼しくなったね。ピクニックの季節だね。」
 「おー、そうだな。弁当持って、山にでも登るか。」
 「うーん、遠くへ行きたいな。海の向こう。」海の向こう、遠くということはつまり、連れて行けって言ってるのだ。背中に乗せてって言ってるのだ。
 「あっ、それいいね。私も行きたいな。」と隣で飲んでいたゑんちゅ小僧が口を出し、
 「そうだ、この間、最北端へ行ったから、今度は最南端へ行こうよ。」と続ける。
 「最南端って?」とユーナ。
 「人の住んでいる島ではハテルマが最南端なんだ。」
 「いいね。そうしよう、そうしよう。」と二人で話を決めちまいやがった。
 翌朝は秋晴れ、風は涼しく日差し柔らか。まったく、俺の期待に反して旅日和となってしまった。ウキウキ気分のユーナを背中に、ニコニコ顔のゑんちゅ小僧を毛に結んだブランコに乗せて、空を飛んだ。・・・数時間後に戻ってきた。旅日和には違いなかったが、風向きが悪くて、俺のスピードが出ない。トイレ行きたいとユーナが言うので、途中で引き返したのであった。
   −−−ある日の会話と出来事−−−
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