もう一花 マナがオキナワに帰って、ユクレー屋のカウンターはユイ姉一人となった。であるが、ユイ姉の住まいも実はオキナワで、彼女は飲み屋も経営している。 「おめぇ、ここに来て、もう一ヶ月余りじゃねぇか。大丈夫なのか、店の方は?」 「店はね、信頼できる人がみてくれているから大丈夫だよ。」 「そうか、店が大丈夫なら安心だな。亭主もいなけりゃ、子供もいないから帰らなくてもいいってわけだ。一人ぼっちの自由ってわけだ。」 「うーん、そうだねぇ。自由は自由だね。だけど、一人ぼっちって言葉はちょっと引っかかるね。淋しい女みたいさあ。」 「ほう、みたいさあって、淋しいわけじゃないのか?」 「うーん、どうだろうねぇ。淋しいと感じることもたまにあるけど、これが普通だと思えば普通だしね。特に支障は無いんだけど・・・。マナとジラースーを見てたら、羨ましいとは思ったね。私ももう一花咲かそうかなぁ、なんてね。」 「もう一花って、おめぇ、その歳じゃ・・・、」と、俺が言い終わらない内に、 「あんた、女に向かって、それ以上は禁句だよ。女は死ぬまで女なんだよ。」 −−−ある日のユイ姉との会話−−− |
語り:ケダマン 2009.1.30 次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島 |