さよならマナ
 マナがオキナワへ帰ることになった。ユクレー島には医者がいない、赤ちゃんが病気や怪我をした時に困る、ということで、ユイ姉やマミナ、ウフオバーに諭されたらしい。
 「まあ、そりゃしょうがないな。シバイサー博士やガジ丸の魔力で病気や怪我は治せると思うが、シバイサー博士は酔っていることが多いし、ガジ丸は常時この島にいるわけじゃないからな。俺やゑんちゅの魔力じゃあ風邪一つ治せないしな。」
 「ううん、私もずっとこの島で暮らそうと思ったわけじゃないのさ。ただ、赤ちゃんがね、この島で生まれて、この島の空気を一番最初に吸って欲しかったのさ。」
 「まあ、それは解らんでもない。初めて体の中に入れる空気がこの島のだと、生きる力の強い人間に育ちそうな感じはするな。」
 「だよね。うん。・・・皆と別れるのは淋しいけどね。」
 「おっ、そうか、やっぱり淋しいか。そうか、いやー、俺も淋しいぜ。出会ってから丸2年、なんか、あっという間だな。懐かしいなぁ、お前、凧を揚げていたよな。思い出すなぁ。なんか、ちょっと、うるうるしてきたぜ。」と、俺は少ししんみりとなる。
 「あんたそれ、いつもの妄想だね。今生の別れじゃないんだよ、バカ。」
   −−−ある日のユクレー屋の情景−−−
語り:ケダマン 2009.1.23  次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島
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