カゼはどこにでも 「マナもそろそろ帰らないとね。」とユイ姉が言う。 「えっ?何でだ?この島が、気候が安定してて良いんじゃないのか?」 「乳飲み子を抱えては、この島で暮らすことは難しいさあ。」 「ウフオバーやマミナが見てくれるだろ。」 「赤ちゃんはね、近くの医者がいないと不安さあ。」 「あー、そうか、病気の問題か。しかし、博士が、じゃなくて、博士の機械が大気をコントロールしていて、大病になるようなヴィルスは防いでいると思うんだが。」 「大病は無いかもしれないけど、風邪はあるよ。村の人で風邪を引いている人、たまに見るよ。現に、マミナ先生が今、風邪を引いている。」と、傍からゑんちゅ小僧。 「そうか、風邪はどこにでもあるんだ。俺たちマジムン(魔物)は風邪なんて関係ないからすっかり忘れていたな。しかし、それにしても、マミナが風邪か。あの女、半分マジムンみたいなもんだと思っていたがな。人間だったか。」 「でもさ、マナが帰るとなると、この店、どうなるんだろう?」(ゑんちゅ) 「どうなる?って、なるようになるだろうよ。明日は明日の風が吹くさ。」 −−−ある日のユクレー屋の情景−−− |
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