カゼはどこにでも
 「マナもそろそろ帰らないとね。」とユイ姉が言う。
 「えっ?何でだ?この島が、気候が安定してて良いんじゃないのか?」
 「乳飲み子を抱えては、この島で暮らすことは難しいさあ。」
 「ウフオバーやマミナが見てくれるだろ。」
 「赤ちゃんはね、近くの医者がいないと不安さあ。」
 「あー、そうか、病気の問題か。しかし、博士が、じゃなくて、博士の機械が大気をコントロールしていて、大病になるようなヴィルスは防いでいると思うんだが。」
 「大病は無いかもしれないけど、風邪はあるよ。村の人で風邪を引いている人、たまに見るよ。現に、マミナ先生が今、風邪を引いている。」と、傍からゑんちゅ小僧。
 「そうか、風邪はどこにでもあるんだ。俺たちマジムン(魔物)は風邪なんて関係ないからすっかり忘れていたな。しかし、それにしても、マミナが風邪か。あの女、半分マジムンみたいなもんだと思っていたがな。人間だったか。」
 「でもさ、マナが帰るとなると、この店、どうなるんだろう?」(ゑんちゅ)
 「どうなる?って、なるようになるだろうよ。明日は明日の風が吹くさ。」
   −−−ある日のユクレー屋の情景−−−
語り:ケダマン 2009.1.16  次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島
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