赤い糸の無い女 まだ正月気分のお昼前、青く澄み渡った空の下、ユクレー屋の裏庭でユーナが洗濯物を干している。もう新学期が始まっていると思うのだが、まだ島にいる。 「よー、学校始まってるんじゃねぇーか?いつまでいるんだ?」 「日曜日、ジラースーと一緒に帰る。それにしてもさ、可愛いねぇ、赤ちゃんって。それにしてもさ、そんな赤ちゃんと離れるなんて、ジラースーも可哀想だね。」 「そりゃあ、仕事があるんだからしょうがねぇだろ。ジラースーも家族が増えたんだ、なお一層生活費を稼がなきゃあ、生活そのものが成り立たなくなる。」 「結婚生活かぁ、いいなぁ、私もしたいなぁ。」 「おめぇは恋人探しからだろ、また、0からの出発だな。」 「うーん、何か、道は遠いような気がするよ。私にも運命の人なんているのかなぁ。もしかしたら探せないかもって、ちょっと不安になるよ。」 「ふん、ふん、赤い糸の無い女もまれにはいるらしいからな。」 「うーーー、やっぱり。私、その一人かも。」 「おめぇなあ、運命に頼っていちゃあ前に進まねぇぞ。恋はやる気だぜ。」 −−−ある日のユーナとの会話−−− |
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