非現実の恋人
 昨夜は旧暦の七夕だった。皆で庭に出て、花火(ちゃちな手持ち花火だけだったが)を楽しみ、天の川眺めながら酒を楽しんだ。風もあって、気分の良い夜だった。
 そんな夜が明けて、ユーナが、今日は朝からボーっとしている。恋をしているのでは無くて、恋したい症候群の”ボー”みたいであった。のだが、朝飯食って元気になり、昼飯食った後には大元気になって、元のユーナに戻っていた。まだ、花より団子のようだ。
 「よー、もう、青春の悩みは吹っ切れたのか?」
 「はーっ?何のことさ?」
 「恋したいの何のと、ぶつぶつ言ってたじゃないか?」
 「あー、それ、・・・鬱陶しいから、もう考えないことにした。」
 「ほほう、さすが島育ちだな。いいぜ、そういうの、大雑把な感じで。」
 「それにさ、私にはずーと恋人がいるのさ。」
 「恋人ってガジ丸のことか?確かに、ガジ丸はお前のことを好いているがな、それは親の心みたいなもんだぜ。それに、ガジ丸は、非現実だ。」
 「それでもいいのさ、少なくとも、私が大好きと思っているのは現実さあ。」
   −−−ある日のユクレー屋の情景−−−

ユーナが子供の頃の風景
ガジ丸はユーナを可愛がった。
ユーナはガジ丸が大好きだった。
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