ユクレー島のお墓 「オキナワではさ、七夕の日に墓掃除をするでしょ、ジラースーもさ、先週やったって言ってたけど、この島ではそういうのやらないの?」と、突然、マナが訊く。 「おー、あれだろ、盆に帰ってくるご先祖様たちは、先ず、あの世から墓にやってくるから、墓をきれいにしておくってことだろ?」 「あー、そういう意味があるんだ、知らなかった。で、この島ではどうなの?」 「この島に墓は無ぇよ。」 「そういえば、私もここでお墓って見たこと無いさあ。」 「そうだ。何故なら、お墓は死んだ人のためにある。この島で死んだ人はいない。よって、この島には墓が無いって三段論法だ。」 「そうか、・・・だよね、シバイサー博士が癒しのために作った島だしね。」 「うん、まあ、そういうこった。」と、俺が得意げな顔をしていると、 「あっさ、そんなことないよー、この島にも墓はあるさあ。」と言いながら、奥からウフオバーが顔を出した。「たった一つだけだけどね。」と続けた。 たった一つの墓、その話は後日、ゑんちゅ小僧が瓦版で詳しく語る。 −−−ある日のユクレー屋の情景−−− |
語り:ケダマン 2008.8.15 次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島 |