たそがれ遊覧 金曜日だというのにマナがいない。カウンターにはマミナがいる。 「マナはどうしたんだ?」 「あれ、聞いてなかったの?新婚旅行さあ。」 「新婚旅行?オジーとオバサンがか。どこへ?」 「どこへってことも無いみたいさあ。とりあえず、海の上。」 「海の上?って、船に乗ってどこかへ行こうとしてるのか?」 「ううん、だから、行先はないのさ。何ていうかねぇ、船に乗って海の上をぶらぶらドライブしているって言ったらいいのかねぇ。そう聞いてるよ私は。」 「ほほう、海の上のドライブか。たそがれ遊覧ってわけだな。」 「黄昏って、あんた、まだ昼間だよ。」 「時間は昼間だが、ジラースーの歳が黄昏ってことだ。」 「なるほどね、だけどあんた、そりゃあちょっと失礼だよ。60歳っていったらまだまだ若いよ。ジラースーは若く見えるし、実際に、肉体的にも若いしね。」 「あー、確かにな。あの歳でひょっとしたら父親になるかも知らねぇな。」 −−−ある日のマミナとの会話−−− |
語り:ケダマン 2008.4.18 次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島 |