雲の旅人、歩く旅人
 「空を漂って、いろんな所に行って、いろんなとこ見ているの?」
 「漂っているって言葉はいいな。漂泊の詩人みたいでいいな。でも、あいにく、俺は詩人じゃないからな。雲のようにただ浮かんでいる、漂流物みたいなもんだわな。ちょっとカッコ良く言うと、雲の旅人ってことだな。」
 「このあいだ来ていたアッチャンも旅人なんでしょ?」
 「アッチャンはそうだな。彼は、俺とは違って人間が好きみたいでな。人を観て、人と会って、話して、いろんなことを感じたいみたいだよ。そのためにいつも地面の上をテクテク歩いているんだな。彼なら漂泊の詩人と言ってもいいな。歩く旅人だよな。」
   ―――ある日の、ユーナとの会話―――
語り:ケダマン 2006.5.26 次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島

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