ナツラリヒト 「あっちーなー!」と思わず大声が出た。 「なによ、びっくりするじゃない、急に大声出して。」 「暑いだろうがよ。」 「そりゃあ暑いよ。夏だからしょうがないじゃん。・・・ってアンタ、マジムンなんでしょ?マジムンでも暑さを感じるの?」 「あー、その点では、俺はマジムンとしての悟りが無い。もともと人間だった頃から俺はナツラリヒトだったんだ。マジムンになってもそれだけは変わらないようだ。」 「えっ?意味わかんない。自然を愛するナチュラリストがあ、何で夏に弱いのさ。」 「えっ?意味わかんないって、そっくりそのまま返すぜ。夏に弱いからナツラリヒトなんじゃないか、何言ってんだオメェ。」 「ナツラリヒトって言ってるの?」 「そうだ、ナツラリヒトだ。ラリはラリルって意味だ。夏ラリル人だ。ラリルってのはダレルって意味の沖縄語だ。あー、俺は夏に解けていくぜ。」 −−−ある非常に暑い日のマナとの会話−−− |
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