空をとぶなら ユクレー屋のカウンター、今日は俺じゃなくゑんちゅ小僧が立っている。俺と同様、ゑんちゅも料理はしない。昼間、ウフオバーが作ってくれた惣菜を出すだけだ。よって、俺と同様、やることといったら酒を出すこととおしゃべりだけ。 「客は来ないなぁ。暇だなぁ。」と言うが、来てもたいしたことはしない。 「あー、なんか、毎日同じ顔を見て酒を飲むのにも飽きたなぁ。」 「それはお互い様だけど、確かに。」 「俺よー、このあいだから思ってたんだけどな、やはり、決めたよ。」 「ん?何だ突然。決めたって、何を決めたんだ?」 「風に吹かれてプカプカしているのが俺らしいと気付いたんだ。この島はお気楽でいいんだけどな、今回は長居しすぎたよ。でな、旅に出ることにした。」 「旅?・・・そうか、まあ、それがお前の普通だからな。思えば、ここに来てずいぶん経つよな。えーと、ユーナがいた頃だから、3年位になるな。で、いつ発つんだ?」 「空を飛ぶなら青空を、ってことだ。ちょうど五月晴れの季節だ。出発は明日。」 ということで、週刊ケダマンは来週からしばらく休刊。 −−−ある日のユクレー屋の情景−−− |
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