ぬるま湯の居心地
 俺はユクレー屋のカウンターに立っている。立ってはいるが、飲むのとおしゃべりする以外やることは無い。おしゃべりと言ってもドゥーチュイムニー(独り言)しているわけではない。客はいる。忙しいと言っていたガジ丸だ。
 「忙しいって言ってたんじゃないのか?今日はたまたま暇なのか?」
 「暇マジムンのお前と違って、俺はいつだって忙しい。ちょいと息抜きに寄ってみただけだ。ところで、この2週間、マスターのお手本を見せたが、参考になったか?」
 「あー、まあな、聞き上手になれってことだろ?」
 「ただ聞いているってことでもないけど、それは解るか?」
 「ん?・・・相手の話を聞いて、適当に相槌を打つだけじゃあダメか?」
 「短絡的思考は経験の有無じゃないな、生来の気質だな。」
 「うるせぇよ。俺がテーゲーなのは生来だけじゃなく、そういう生き様なんだ。」
 「まあ、テーゲーはテーゲーで構わんが、厳しいのもなかなか楽しいぜ。」
 「せっかく、ここはぬるま湯の居心地なんだ、わざわざ厳しくすることはないさ。それによ、俺は元々自由気ままにプカプカなんだ。・・・あっ・・・それが俺・・・だ。」
   −−−ある日のユクレー屋の情景−−−
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