アジサイ/ガクウツギ
 今日は9月4日、今年の沖縄の8月は例年に無く涼しい8月であったが、9月になってもなお涼しい。台風が近付いていて、外は強い風が吹いている。
 梅雨時のアジサイを9月になって紹介するというのも何だが、しかし、思えば、このHPで紹介する植物はそのほとんどが花の季節を終えてからとなっている。写真を撮るのは早いが、それを調べて、文章を仕上げるのは時間がかかるからである。

 3年前に奈良で撮ったウツギの写真を探していたら、アジサイの写真もあった。アジサイは沖縄では育ちにくい。民家の庭できれいに咲いているのを見ることもあるが、少ない。公園などにはほとんど無い。アジサイの写真はその時期に園芸店などに行けば撮ることができるが、それも忘れていた。で、奈良のアジサイの写真がたまたま見つかって、別項で同じ科のウツギを書いたこともあって、季節はずれの今、紹介する。
 上記の通り、アジサイは沖縄の庭にはあまり無い。ウチナーンチュの多くの人にとってアジサイは、テレビに移るドラマの中の景色であろう。梅雨時の景色の中にアジサイが咲いており、葉の上をカタツムリが這っている。ドラマの中でよく見るシーン。
 日常ではなじみが薄いが、季節になると園芸店に多く出回る。派手で目立つので、その鉢物を買って行く人は多い。花が終わって、株を庭に植える。それらの株の多くは、あまりにも熱い沖縄の太陽に負けてしまうようだ。「熱過ぎるぜ!」と言って死んでいく。

 アジサイ(紫陽花):添景
 ユキノシタ科の落葉低木 ガクアジサイの改良種
 日本に古くからあるガクアジサイがヨーロッパに渡り、そこで品種改良され、花数の多いセイヨウアジサイとなり、それをアジサイと呼ぶ。園芸店ではハイドランジアともいうが、これは属名。また、色が青から赤紫へ変わることから七変化という別称もある。
 アジサイは同じハイドランジア属のガクアジサイを含んだ総称でもあるが、狭義ではセイヨウアジサイを指している。ガクアジサイから生まれたものなのに、ガクアジサイがガクアジサイで、セイヨウアジサイがアジサイなんて、何か腑に落ちない。セイヨウアジサイの方をハナアジサイとかにすればと思うのだが、派手な方がやはり目立つのだろう。
 花として目立つものは萼片の発達したもの。まとまって丸い形になり見応えがある。梅雨時の花として知られる。高さは150センチくらいになる。
 沖縄の夏の暑さには弱いようで、民家の庭や公園などで見かけることは少ない。ヤンバル(本島北部の通称)の木立の陰になったところで生育の良いものを見ることができる。


 ガクウツギ(顎空木):添景
 ユキノシタ科の落葉低木 本州中部から九州まで分布。
 写真は東山動植物園で撮ったもの。てっきりガクアジサイとばかり思っていたが、調べるとガクウツギとあった。ほほう、よく似た草木もあるもんだと思いつつ、さらに調べると、名はウツギと付くが、同じユキノシタ科でも属としてはウツギの仲間では無く、アジサイと同じハイドランジア属であった。なるほど似ているわけだ。開花期は5〜6月。

 ガクアジサイ(萼紫陽花):添景 →記事(ガクアジサイ)
 ユキノシタ科の落葉低木 関東以南から九州南部に分布
 記:島乃ガジ丸 2005.9.4  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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