タチシバハギ |
今年の夏は雨が降らない。農夫の命にかかわっている。そしてまた、例年より暑い。暑さは日中働く人の命にかかわって(熱中症などで)いる。去年までの3年間の夏(7〜8月)96日間の内、33度を超えたのは去年7月の2日間だけで、34度を超えた日は無い。なのに、今年は7月だけで33度台が14日、34度台が1日あった。 その暑い7月の、晴れて糞暑かったある日のこと。宮崎から遊びに来た友人Iが「斎場御嶽に行きたい」というので連れて行った。斎場御嶽、私は何度も行っているので彼が見学している間、私は近くの知念岬公園を散策することにした。 知念岬公園は去年の6月にも散策していて、その時にタチシバハギ(もちろん、あとから図鑑を見てその名を知った)の写真を撮った。花を着けて(開花期は夏、これもあとから知った)いたのでそのアップ写真も撮った。であるが、家に帰って写真を確認すると、花のアップ写真はピンボケしていた。「写真撮る時も老眼鏡が必要だなぁ」と反省。 で、今回、同じ場所にあるであろう、そして、時期なので花も咲いているであろうタチシバハギの、花のアップ写真を撮り直そうと思ったのであった。 車を出るまではそのことを覚えていた。駐車場から公園のタチシバハギのある個所まで歩いている途中、タチシバハギまであと100mというところまで来て、既に、タチシバハギのことは記憶から失せていた。暑かったのだ。糞暑くて「何で俺はこの暑い中、トボトボ歩いているんだ?バッカじゃないの?」と思って、引き返したのであった。 タチシバハギは属名をヌスビトハギと言う。ではあるが、彼が私の脳から彼の記憶を盗んだというわけではもちろん無い。私の記憶の盗人は間違いなく糞暑い太陽である。 タチシバハギ(立芝萩):野草 マメ科の多年草 南アメリカ原産 方言名:不詳 名前の由来は資料が無く不明。で、一考察。同属にシバハギという種がある。シバハギは「茎は根元で多く分かれ地を這って広がる」ということで芝、ハギに似たものということで萩だと思われる。本種は茎が立ち上がるのでタチ(立)が付くのであろう。 属名の和名がヌスビトハギ属とある。ヌスビトハギという種もあって、「ハギに似た淡紅色の小蝶形花」(広辞苑)とある。これでハギ(萩)に似たは正解。それにしても、ヌスビトハギの名前がさらに気になる。広辞苑には「莢には細かい鉤状の毛があり、熟すと他物について運ばれる」ともあって、ここから盗人と付いたのかもしれない。 茎の先端が総状花序となり、紅紫色のマメ科らしい形の小花を多くつける。開花期は夏。葉は3出複葉で、葉表に灰白色の斑が入ることがある。 高さは50センチていど。道端、野原に見られる。飼料になるとのこと。 ちなみに学名、 タチシバハギ Desmodium incanum シバハギ Desmodium heterocarpon ヌスビトハギ Desmodium podocarpum 実 |
記:島乃ガジ丸 2013.7.26 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行 |