リュウキュウバライチゴ
 ベストソーダという飲み物が昔、沖縄にあった。ベストソーダにはたくさんの種類があった。透明のもの以外に、赤色、黄色、緑色などのものがあった。それぞれに味と香りが違い、それぞれに名前が付いていた。などといったことは覚えているが、それらが何という名前だったかについてはほとんど覚えていない。
 透明のものはたぶんレモン味であっただろう。名前もレモンだったかもしれない。ストロベリー味も確かあって、ストロベリーという名前だったと思う。その他には、ラズベリーとかクランベリーなんていう名前があったような記憶が微かにある。

 イチゴは「バラ科の小低木または多年草で、黄・紅色の液果をつけるものの総称」(広辞苑)であるが、英語のベリー(berry)は「核のない果肉の柔らかな食用小果実」(研究社:新英和・和英辞典)とのことで、バラ科のラズベリー、ブラックベリーなどだけでなく、ツツジ科のブルーベリー、クランベリーなども含まれる。
 シマグワの果実のことをナンデーシーとウチナーグチでは言うが、それも「核のない果肉の柔らかな食用小果実」である。よって、これにベリーと名を付けても間違いということはない。ナンデベリーとか名前をつける。リュウキュウバライチゴにはローズベリーなんて名前を付ける。それらでソーダを作る。ベストソーダの復活だ。

 リュウキュウバライチゴ(琉球薔薇苺):雑木
 バラ科の常緑低木 関東以西、南西諸島、台湾、他に分布 方言名:インギイチブ
 イチゴ(苺)というと、春、店頭に並ぶあの美味しい赤いイチゴが頭に浮かぶが、それはオランダイチゴと言い、イチゴは、「バラ科の小低木または多年草で、黄・紅色の液果をつけるものの総称」(広辞苑)とのこと。本種もその一つ。バライチゴという種もあって、それは関東以西から九州に分布するが、本種は琉球列島にも分布する。
 高さは100〜150センチほどになる。バラ科らしく幹に棘がある。山地に自生するとのことで、私の身の回りで見たことは無い。写真は竹富島のもの。
 枝の先に数個の花がつく。4センチほどの大きさで美しい白い花。開花期についての資料が無く正確なところは不明だが、文献の写真は2月、私の写真は11月ということで、おそらく秋の終りから冬にかけて咲くのだろう。
 赤紫色に熟した果実は美味と文献にあったが、私は食べたことが無い。美味ならば果物としても良いと思うが、果実が販売されているという話は聞かない。なので、果樹にはならない。繁殖力が強いので、庭に植えるには不向き。よって、雑木扱いとした。

 花

 実

 ついでに、
 バライチゴ(薔薇苺):雑木
 バラ科の落葉低木 関東以西、四国、九州などに分布 方言名:なし
 琉球列島には自生が無いようで、私も見たことが無い。山地に生える落葉低木。高さは20〜60センチほどで地下茎を伸ばしてふえる。枝の先に数個の花をつける。開花期は7月から8月。果実は紅く熟するが、美味しくないとのこと。
 学名、バライチゴRobus illecebrosus、リュウキュウバライチゴRubus rosaefolius
 記:島乃ガジ丸 2007.8.19  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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