マメグンバイナズナ
 「ぺんぺん草が生える」という言い回しがある。辞書を見なくともだいたい意味は分かっている。テレビドラマか何かで何度か聞いて覚えている。「家の人が掃除などちっともしないんだな、ぺんぺん草が生えてるぜ」などというセリフだ。荒れ果てた庭や荒れ果てた家などを指して言う。茅葺の屋根からぺんぺん草が生えている情景が浮かぶ。
 ぺんぺん草については辞書を引いてみた。「ナズナの別称」(広辞苑)のこと。先週紹介したナズナだ。ナズナを見たのは前にいた職場、首里石嶺でのこと。「そうか、前の職場の庭は荒れ果てていたのか」と少々残念に思う。

 今回紹介するマメグンバイナズナは、ナズナと同じアブラナ科だが、属は違う。でも一応ナズナと名が付いているので、「荒れ果てた」を連想する。マメグンバイナズナを見たのは那覇市にある海岸傍の公園、その公園もそういえば雑草が蔓延っていた。
 私の畑なっぴばるには今のところ、ナズナもマメグンバイナズナも生えていない。私の畑は「荒れ果てた」というほどではないかもしれない。実際は雑草だらけだけどね。

 マメグンバイナズナ(豆軍配薺):野草
 アブラナ科の一・二年草 北アメリカ原産 方言名:不詳
 名前の由来は『身近な植物図鑑』に「草全体が小さく、実が軍配うちわに似ているところから」とあった。軍配団扇とは「武将が軍陣で采配の代りに用いた具。鉄・革または網代や紙でつくり、漆を塗る。形は瓢箪の縦断面に似」(広辞苑)のこと。
 グンバイナズナという種もあり、本種はそれに比べ小さいということであろう。グンバイナズナは沖縄の植物を紹介している参考文献のどれにも記載が無い。なので、沖縄には生息しないのかもしれない。本種の莢の形、グンバイナズナより丸っこい。
 高さは20〜50センチ。放射状に花茎を出し、その先にいくつもの花をつける。開花期についての資料は無いが、私は1月に見て、5月、6月にも見ている。
 独特の香りがあるというが私は未体験。低地の野原や道端などに生える。

 花

 実
 記:島乃ガジ丸 2014.1.23  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
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