コヤブミョウガ |
野菜のミョウガは日本原産でショウガ科の宿根草。『沖縄園芸百科』に「北は北海道より南は沖縄まで全国いたる所に自生しています」とあり、ミーガというウチナーグチ(沖縄口)もある。しかし私は、野菜のミョウガを知り、それを食したのは大学で東京暮らしをするようになってからだ。母はミョウガの料理を出したことはなかった。 家でミョウガが出されたことも無く、ミョウガが食卓の話題になったことも無いので、私はミョウガの存在そのものを知らなかったわけだが、スーパーでもミョウガはあまり見なかったと思う。沖縄料理にミョウガを使った料理も無いと思う。 『沖縄園芸百科』には「昭和51年ころより北部地域で経営作目として栽培され」ともあり、それまでは沖縄の食卓に一般的な野菜ではなかったことが想像される。それで納得できる。私が高校生の頃まで一般的でなかったので、母も食卓に出さなかったわけだ。 コヤブミョウガという名を見て、「ミョウガの親戚か、食えるかな?」と私はすぐに思ったのだが、コヤブミョウガはツユクサ科の多年草で食用にはならないらしい。しかし、そのお陰で私は後悔せずに済んだ。ミョウガの親戚で、ミョウガと似たような香りのある野菜であれば、「あー、採取しとけば良かった」と後悔したはずなのだ。見たのは大宜味村なので遠い。片道2時間以上かかる。貧乏人では滅多に行けるものでは無い。 コヤブミョウガ(小藪茗荷):野草 ツユクサ科の多年草 南九州〜南西諸島、熱帯アジアなどに分布 方言名:不詳 名前の由来については資料が無く不明。ヤブミョウガが広辞苑にあり、藪茗荷と漢字表記され、「山野の陰地に自生・・・ミョウガに似」とある。なので、「藪の中に自生し、ミョウガに似ている」ところからヤブミョウガ(藪茗荷)で、本種はヤブミョウガの変種となっていて、それより小型なのでコ(小)が付いたものと思われる。ちなみに、ミョウガはショウガ科の宿根草。若い花穂が食用。本種は食用にならない。 ミョウガの名の由来については広辞苑に「メカ(芽香)の転という」とあった。ミョウガは私も何度か食べているが、確かに独特の良い香りがする。 やや湿った日陰の林縁部に生え、高さは20〜80センチになる。茎の基部は曲って地に着いた節から根を出し広がる。茎の先に円錐花序を出し、白い小花を数個つける。開花期は5月から6月。果実は青紫色で7月から8月に熟す。 基本種のヤブミョウガは関東以西〜九州に分布し、本種より大型。ちなみに学名、 ヤブミョウガ Pollia japonica コヤブミョウガ Pollia japonica var.minor 花 |
記:島乃ガジ丸 2013.5.29 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編 |