カワラアカザ
 今、探している薬草が「特にこれらは早急に」と思っているものが4種ある。いずれも私がまだ出会っていない(あるいは気付いていない)もので、フウトウカズラ、サネカズラ、ヒメイタビ、そしてアカザ。アカザは私が最近目を通した薬草の本の多くに載っており、五十音順に掲載されている本ではトップかその次に紹介されている。
 今、図書館から借りている薬草の本は2冊、『薬になる植物図鑑』と『琉球薬草誌』、どちらにもアカザは載っており、どちらもアカザは全国に分布とあり、「野原や畑地に普通に見られる」と説明されている。普通に見られても私には気付かれていない。

 ところが、沖縄の植物(薬草とは関係なく)を紹介している私手持ちの文献(6冊)のどれにも記載が無い。『沖縄大百科事典』にも載っていない。アカザは載っていないがカワラアカザは『沖縄大百科事典』にある。さらに、カワラアカザは私が散歩する公園のうち海岸端の公園である県立運動公園にも吉の浦公園にもどっさりある。
 どっさりあるのだが、カワラアカザがアカザと同様に薬効があるのかどうか、説明されている文献に今のところ出会っていない。ちなみにアカザは、若葉は食用になり、生葉の汁が虫刺されに使われ、若苗を煎じて服用すれば高血圧などに効くとのこと。
 ちなみに、アカザと本種カワラアカザは同科同属で、アカザ科にはあの有名なホウレンソウもある。ホウレンソウの学名はSpinacia oleraceaとなっている。 
 カワラアカザ(河原藜):野草
 アカザ科の一年草 本州〜九州、南西諸島、台湾に分布 方言名:不詳
 名前の由来は『沖縄植物野外活用図鑑』に「和名は河原アカザの意」とあった。アカザとは何かと調べると、藜と漢字が充てられ「アカザ科の一年草 本州〜九州、南西諸島、台湾に分布する。紅紫色の若葉は食用に、茎は干して杖にする。」という植物、本種とは同科同属の別種。アカザのアカは「紅紫色の若葉」から来ているようだがザは不明。本種は別名にマルバアカザというが、これは葉の形状からだと思われる。
 海岸の砂地に多く見られる。草全体が白紛をふき白っぽく見える。茎は直立して高さ30〜70センチになる。葉は卵形〜広披針形で互生。枝先に円錐状穂状花序を多くだし、小さな花を密に着ける。花は目立たないが、多く着ける花序が目立つ。
 「和名は河原アカザの意」だが、沖縄では河原より海岸砂浜で多く見られる。アカザは食用になり、薬効のある薬草でもあるといくつかの文献に紹介されているが、本種については食用になるとか薬草になるとかの記述はどれにも無い。
 そもそもアカザとカワラアカザの違いを書いてある文献もなく、はっきりと判断できないが、文献の写真をみる限りでは、アカザの葉には鋸歯があり、カワラアカザは全縁。ところが別の本では、アカザの葉は幅広く大きく、表面が皺皺になっている。などとアカザは判断に迷うが、カワラアカザはどの文献でもほぼ同じ形状で間違いないと思われる。 
 葉のアップ 
 浜辺の群れ

 ちなみにアカザ、 
 アカザ(藜):野草
 アカザ科の一年草 本州〜九州、南西諸島、台湾に分布 方言名:不詳
 名前の由来は資料がなく不明。新芽の若い茎や葉は紅紫色とのことなのでアカザのアカは赤から来ていると思われる。
 葉は三角状卵形〜三角状広卵形で、近縁種のカワラアカザに比べると大きく、目立つ鋸歯がある。概ねは路傍の雑草扱いであるが、畑で栽培されることもあり、紅紫色になる若葉が食用になるとのこと。同じアカザ科のホウレンソウによく似た味がするとのこと。茎は硬くて軽いので杖として利用される。開花期は8〜10月、沖縄での開花期は不明。
 ちなみに学名は、
 カワラアカザ Chenopodium acuminatum var. vachelii
 アカザ Chenopodium album var. centrorubrum
 記:島乃ガジ丸 2019.6.23  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『沖縄食材図鑑』田崎聡著、有限会社楽園計画発行
 『自分で採れる薬になる植物図鑑』増田和夫監修、柏書房株式会社発行
 『家庭で使える薬用植物大図鑑』田中孝治著、社団法人家の光協会発行
 
 
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