エダウチチヂミザサ・タツノツメガヤ
 これまでにイネ科の植物を数種紹介してきた。ススキ、チガヤ、エノコログサ、ジュズダマ、オヒシバ、メヒシバなど。この中で、このHPを始める前から私が知っていたのはススキとチガヤだけ。これらは子供の頃から名前を耳にしていた。エノコログサ、ジュズダマ、オヒシバ、メヒシバなどは、おそらく私の周りの大人たちの多くも知らなかったに違いない。だから、名前を聞くことも無く、その実物も知らなかった。
 イネ科の雑草は他にもたくさんあって、似たようなものもたくさんあって、どれが何やらさっぱりなんてのもたくさんあって、「薄くて細長い葉っぱで、穂の出るものは皆ススキということにしちまえ!」と面倒臭がり屋の私は思うのである。そんな似たようなものの多いイネ科の中で、前述のエノコログサとジュズダマは特徴があって、写真を撮り、図鑑と照らし合わせて調べるとすぐに判った。そして、今回紹介するエダウチチヂミザサとタツノツメガヤもまた、それぞれ特徴があって判りやすかった。

 エダウチチヂミザサ(えだうち縮笹):雑草
 イネ科の多年生草本 方言名:ヤマガギナ
 近縁種にチヂミザサがあり、葉の形がササに似ていて、葉の縁が波を打っているように縮れているのでその名があるが、本種も同じ理由でチヂミザサとつく。エダウチが不明。枝打という言葉はあるが、樹木の枝を落すということで、ここでは関係ない。茎が葉に巻かれるようにして内側にあるのでエダウチ(枝内)、あるいはまた、「波打つ」と同様の使い方で枝に波が立つということで「枝打ち」と推量するが、自信は無い。
 道端や空地で地面を覆うようにして生えているのを良く見る。茎はいくつも分かれて、節々から根を出し、横に広がっていくのである。建物の裏手、庇の下、樹木の根元などのやや暗いところを好む。高さは20〜40センチほど。


 タツノツメガヤ(竜の爪茅):雑草
 イネ科の一年草 アフリカ原産 方言名:カービドーフサ
 カヤというとチガヤが浮かぶが、本種とチガヤは同じイネ科だが、属が違う。チガヤはチガヤ(Imperata)属、本種はタツノツメガヤ(Dactyloctenium)属。カヤは「屋根を葺くのに用いる草本の総称」(広辞苑)とのことなので、本種が屋根葺きに用いられるかどうか不明だが、それらと似たようなものということでカヤとつくのであろう。穂が4、5つに分かれて、私にはヒトデのように見えるが、古人には辰の爪に見えたらしい。
 高さは30センチ内外。穂は夏に出る。『沖縄植物野外活用図鑑』に「アフリカ原産」とあったが、『寺崎日本植物図譜』には「奄美以南のものは自生種」とあった。
 記:島乃ガジ丸 2006.9.25  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
inserted by FC2 system