ダンチク |
確かに撮った筈なのに行方不明となっている写真がある。ここにいる筈だとパソコンのハードディスクの中の、「判明写真」フォルダの中の、「雑草」フォルダを見る。しかし、そこには無いので、どこかに間違って入れたかと思いハードディスク全体に検索をかける。しかし、見つからない。パソコンの中から完全に消え失せてしまっている。 撮った場所、撮った日付はだいたい覚えている。日付は去年の4月。車の車検があり、車検場所である整備工場がアパートから南の方向に歩いて40分ほどの場所にあり、そこへ車で行って車を預け、車検が終わるまで辺りを散策した時のこと。場所はアパートの方向に歩いて行って20分ほど、高速道路が上を走る西原町と浦添市の境目辺りの野原。 その時に撮った、今は行方不明になっている写真はダンチクの写真。ダンチクを紹介しようと思って文章を書いていて、写真を確認しようとした時に行方不明に気付いた。 だけれども、慌てることはない。ダンチクはそう珍しい植物では無い。アパートから西原のなっぴ畑に通う途中の野原、アパートよりに1ヶ所、畑よりに1ヶ所私は見ている。ダンチクは「海岸付近に自生」と文献にあったが、どちらも海岸付近では無いのだが、その葉の生え方、幅の広さなどからダンチクと車で走りながら確信していた。 ダンチク(暖竹):野草 イネ科の多年草 関東南部以西〜南西諸島に分布 方言名:デーク、ダーク 名前の由来は明記した資料が無く不詳だが、暖竹という漢字表記は広辞苑にあり、その説明の中に「暖地の海岸付近に自生」とあって、暖地の竹ということでダンチク(暖竹)だと思われる。ただし、同じイネ科ではあるが、本種は竹類とは異なる属。 竹類とは異なるが、竹と同じように茎は中空で節があり、幹は木質状になる。見た目はしかし、竹は節から葉を放射状に出すが、本種はススキのように茎を包むようにして下方から順に葉を出していく。茎はまた、竹のように強くなく、折れやすい。 葉は幅2〜7センチ、長さ30〜60センチと大型、葉はススキに似るがススキより幅が広く、茎の下部から葉が枯れるススキに比べ、下部の葉も多く残る。葉は途中から垂れ下がることが多いので、その容姿でもススキとはっきり区別できる。トウツルモドキにも似ているが、トウツルモドキは葉の先が巻きひげになっているので区別できる。 海岸近くに生え、高さ2〜6mになる大型の多年草。茎の先に円錐花序を出し小さな花を密につける。開花期について資料は無いが、文献の写真は11月と12月、ということで晩秋から冬ということにしておく。花穂もススキより大型。花は赤紫で小さい。 防風垣として利用され、飼料にもなる。住居用ともあったが、屋根葺きになるかも。 |
記:島乃ガジ丸 2013.7.28 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行 |