アレチノギク/オオアレチノギク
 アレチノギクは、職場の庭で時折見かけた。2005年10月には写真を撮って、それがアレチノギクであることも知った。参考にした文献『沖縄植物野外活用図鑑』の、アレチノギクの次のページにオオアレチノギクが紹介されてあって、こっちの方が個体数は多いとある。ならば、オオアレチノギクの写真を撮って、アレチノギクと一緒に紹介しようと思った。が、職場の庭にオオアレチノギクは出現しなかった。
 それから1年半以上が過ぎた2007年6月、散歩の途中の空地でオオアレチノギクを発見する。ところが、『沖縄植物野外活用図鑑』のオオアレチノギクの次のページにはヒメムカシヨモギという名の、よく似た植物が載っている。同属である。うむ、ならばヒメムカシヨモギも一緒に紹介せねばなるまいと思っていたら、その数日後、仕事の現場の近くで発見した。むろん、初めからこれはオオアレチノギク、これはヒメムカシヨモギと判別できたわけでは無い。写真と文献とを見比べた結果のことである。
 『寺崎日本植物図譜』によると、アレチノギクの開花期は4〜5月、オオアレチノギクは8〜10月、ヒメムカシヨモギは8〜10月とあった。しかしそれは、倭国での話であろう。私は、オオアレチノギクとヒメムカシヨモギの花を6月に見ている。アレチノギクは10月に見ており、2月、3月頃にも見たような覚えがある。

 アレチノギク(荒地野菊):野草
 キク科の越年草 南アメリカ原産 方言名:ホーブシグサ
 ノギク(野菊)は「野に咲く菊」(広辞苑)のこと。本種もキク科植物で野に咲くことからノギク、野の中でも荒地で多く見ることからアレチということ。
 広辞苑に「高さ1m」とあったが、私が見た個体の全てが高さ30〜50センチ。あんまり暑くて沖縄では背が伸びないのかもしれない。
 『沖縄植物野外活用図鑑』に「オオアレチノギクより個体数は少ない」とあったが、職場の庭では本種をよく見る。開花期の記述は無いが、同書の写真は5月、私の写真は10月と5月。沖縄ではほぼ年中咲いているのかもしれない。
 帰化植物の低地雑草で、群生しているのはあまり見ない。




 オオアレチノギク(大荒地野菊):野草
 キク科の越年草 ブラジル原産 方言名:ホーキフシャ
 名前の由来、アレチノギクは上の「アレチノギク」と同じで、荒地野菊ということ。アレチノギクより大型なのでオオ(大)がつく。
 高さ50〜200センチと『沖縄植物野外活用図鑑』にあった。私が見たものもだいたいその程度。アレチノギクより個体数が多く、高さがその程度ということは、広辞苑にあるアレチノギクは本種を指しているのかもしれない。
 帰化植物の低地雑草で群生することが多い。

 花


 ヒメムカシヨモギ(姫昔蓬):野草
 キク科の越年草 北アメリカ原産 方言名:不詳
 ムカシヨモギというのはムカシヨモギという植物があって、ムカシヨモギ属という属もある。学名ではErigeron属となる。本種を含め、今回紹介しているアレチノギク、オオアレチノギクも同属、他に、既に紹介済みのハルジオン、ヒメジョオンも含まれる。
 ヨモギは沖縄で言うフーチバーであり、蓬饅頭のヨモギであるが、ムカシ(昔)が何をイメージしての昔なのか、参考にしている文献に記載が無く、不明。本種はムカシヨモギより花が小さいことからヒメ(姫)とつくのだと思われる。
 『沖縄植物野外活用図鑑』に「高さ50〜200センチ」とあって、私が見た感覚でもだいたいそれくらい。3種の中では花は最も小さい。全体に明るい緑色をしている。
 帰化植物の低地雑草で群生することが多い。

 花
 記:島乃ガジ丸 2007.7.9  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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