リュウキュウヨモギ
 ヨモギというと、倭国ではお菓子(よもぎ餅など)に使われてもいるが、概ね雑草として扱われているようである。ヨモギはしかし、沖縄では野菜である。ウチナーンチュのほとんどが認める野菜である。ウチナーンチュのほとんど(たぶん9割くらい、推定だが)が知っているフーチバージューシー(よもぎ雑炊)という料理の主役だ。ウチナーグチでフーチバーと呼ぶヨモギはニシヨモギという種で、倭国のヨモギ(ヨモギという種)より繊維が柔らかく、野菜として食すのに適しているらしい。
 フーチバーがニシヨモギという種であり、それが野菜として食すのに適しているなどということを知ったのは、ガジ丸HPで植物を紹介しようと思い、植物図鑑で植物を調べるようになってからだが、その時に、リュウキュウヨモギという植物の存在も知った。そういうものがあるということは知ったが実物は見ていない、あるいは、気付いていない。図鑑で見る限りの姿は、スーパーの野菜コーナーでも見たことが無い。

 そもそも、「ヨモギと名がつけば野菜」という先入観がいけない。野菜コーナーで見ないんだから雑草であろうと判断した。・・・のだが、野菜コーナーで見ないものは雑草というのも先入観にならないか、とすぐに反省し、図鑑の説明文をよく読む。すると、「どこから野菜で、どこから雑草か」という判断を迫られることになった。
 リュウキュウヨモギ、野菜として食されるとは無かったが、「解熱、咳止め、肝炎などに効き、重要薬草」とある。重要薬草を雑草として良いものかどうか、しばし熟考する。その結果、薬草は野菜の部類に含めようと決めた。美味しいかどうかはともかく、口にしても大丈夫なのだ。お腹の中に入り、糞として出ていくのだ。食い物に間違いない。

 リュウキュウヨモギ(琉球蓬):野草
 キク科の多年草 南西諸島、台湾、中国に分布 方言名:インチングサ、ハママーチ
 名前の由来、『植物名の由来』に「善萌草」とあった。善く萌える草、その通りヨモギは繁殖力が強い、沖縄では食料とするが、倭国では畑の強害草でもあるようだ。「ヨモギに蓬の字をあてるのは誤り」とも同書にあり、ヨモギと蓬莱山とは無関係とのこと。本種は南西諸島に多く見られることからリュウキュウ(琉球)と付く。
 匍匐性で茎は長さ1m内外まで伸びる。茎の先端は立ち上がり、円錐花序を作って花をつける。花は小さく、黄緑色で開花期は秋〜冬。河原や海岸の砂浜で見られる。
 カワラヨモギと同じく解熱、咳止め、肝炎などに効き、重要薬草とのこと。
 ちなみに学名、
 リュウキュウヨモギ Artemisia campestris L.
 カワラヨモギ Artemisia capillaris Thunb.
 ヨモギ Artemisia indica var. maximowiczii
 沖縄のニシヨモギ(フーチバー) Artemisia indica Willd. var. orientalis

 花
 記:島乃ガジ丸 2012.5.15  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
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