キバナスズシロ
 散歩の途中、民家の庭に知らない花が咲いているのを見つけると写真を撮り、後日、図鑑と照らし合わせて、何と言う植物なのかを調べている。私は知らないけど、一般的には有名である植物の場合は、ほとんどの図鑑に載っているので、判明するのは早い。
 ガジ丸HPでは既に600種程の植物を紹介している。ということでもはや、沖縄で生育している植物のうち、一般的には有名であるが、まだ紹介していない植物はだいぶ少なくなってきた。見知らぬ花の写真を撮って、何者なのか調べようと思っても、参考にしている文献のどれにも記載の無い植物の方が、今はずっと多い。
 なわけで、散歩の途中、民家の庭に知らない花が咲いているのを見つけ、そこの家の人が庭にいた場合は、決まって声をかけている。「すみません、この花、珍しい花ですが、何て言うんですか?」と訊いている。花の好きな人に悪い人はいないらしく、そんな場合はほぼ間違いなく優しい応対が返ってくる。花の名前が判るのは半々だが。
 珍しい花はたいてい、和名が付いていなくて、学名を名前にしたものも多くて、家の人も覚えられないことが多いのであろう。「さあ、何だったかねぇ」が答えの半分。

 キバナスズシロは和名である。しかし、その名を聞いて、その姿が思い浮かぶ人は少ないに違いない。しかも、私が参考にしているどの文献にもその名は無い。キバナスズシロとはルッコラのこと。ルッコラなら知っている人も多かろう。ルッコラなら私の参考文献の2冊に記載がある。和名より外国語名で有名、そんな植物も少なくない。

 キバナスズシロ(黄花清白):ハーブ・葉野菜
 アブラナ科の一年草 地中海沿岸〜アジア西部原産 方言名:なし
 キバナスズシロって何?と思った人も多かろう。一般的にはルッコラという名前で知られている。私もキバナスズシロという和名は今回調べて、初めて知った。ルッコラはイタリア語で、rucolaと書く。英語ではrocketと書き、ロケット。
 名前の由来、スズシロは春の七草で有名なスズシロ、漢字では清白、または蘿蔔(難しい字なので以降は無視)と書き、ダイコンのこと。ダイコンも同じアブラナ科なので、どこか似ている所があるのだろうが、詳しくは不明。キバナは黄花に違いないと思うが、私が見たのも、文献の写真もほぼ白。花色には黄、白、桃などがあるらしい。
 葉はゴマの香りがし、葉野菜として利用される。若い葉は生でサラダ、育った葉は火を通して、花も食用となる。ビタミンCを多く含み、健胃効果があるとのこと。
 草丈は70〜120センチ。開花期は6月から7月。

 花
 記:島乃ガジ丸 2011.1.23  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
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