ラッカセイ
 豆といえば、大豆が先ず思い浮かぶだろうか。ウチナーグチ(沖縄口)でも単にマーミといえば大豆(トーフマーミともいう)を指す。大豆といえば豆腐、沖縄の食卓に豆腐は頻繁に出てくる。豆腐を食わない日は無いといっていいくらい、豆腐は親しい。
 大豆の次には、”あんこ”の原料であり、ぜんざいや赤飯に使われている小豆が、倭国では先ず思い浮かぶのかもしれない。小豆色という言葉があるくらいだ。しかし、沖縄では小豆よりもラッカセイの方が、豆類の中ではより親しまれていると私は思う。ラッカセイという名では無く、ジーマーミ、またはピーナッツという名で親しまれている。
 小豆はウチナーグチでアカマーミ(赤い豆)というが、アカマーミという言葉が何を指しているか知っているウチナーンチュが5割いるとしたら、ジーマーミが何を指すのか知っているウチナーンチュはたぶん8割くらいいるに違いない。

 沖縄が世界に誇る(世界的には知られていないかもしれないが、知れば世界中がきっと認める)健康食品、黒糖。その加工食品でジーマーミ黒糖(ピーナッツ黒糖と名乗っている商品もある)はラッカセイに黒糖をまぶしたもの。これは古くから沖縄の特産品としてあり、私も子供の頃から口にしている。他に、ジーマーミ豆腐という食品があって、これは芋くずとラッカセイを原料にした豆腐状の食い物。これもよく知られている。だから、ジーマーミはその名と共に広く、深くウチナーンチュには親しまれているのである。
 ピーナッツという言葉も古くから耳に親しんでいる。さらし鯨のタレやミミガーのタレにはピーナッツバターが使われる。ピーナッツバターはアメリカ産の食品だが、ピーナッツがジーマーミのことであることは知っていたので、沖縄料理に違和感は無い。
 ジーマーミはもちろん、そのまま茹でたり、炒ったりして子供のおやつ、あるいはオヤジのビールのつまみになったりする。瓶詰めジーマーミという沖縄特産がある。

 ラッカセイ(落花生):食料・食用油原料
 マメ科の一年草 原産はボリビア、ブラジルなど 方言名:ジーマーミ
 年配の方はナンキンマメ(南京豆)とおっしゃるラッカセイ、若者にはピーナッツと言う方が通りがよかろう。ピーナッツは英語のPeanutからきている。Peaはエンドウマメのことで、エンドウマメのようなナッツ(木の実)ということになる。が、ピーナッツは木の実では無く、豆。つまりエンドウマメと同じ野菜の種。英語名は他にGround nutとも言い、これは方言名のジーマーミに近い。ジーマーミは地豆という意味。ラッカセイの豆は地中にできる。地際に花が下りて結実するので、落花生という名になる。
 世界中で広く栽培され、豆類の中では大豆に次ぐ生産量とのこと。日本では関東地区の千葉県、茨城県が有名で、沖縄では宮古島や伊江島などが特産地となっている。
 茹でたり炒ったりして食う他、食用油の原料ともなる。品種によって匍匐性、立性、半立性、大粒種、中粒種、小粒種があるとのこと。
 収穫時期については文献に無く、正確なところは不明だが、伊江島の人から夏の初め頃に頂いたことがある。友人Tは7月頃から収穫し、店頭に並べていた。私の畑は今、9月に収穫を迎えている。本土での収穫時期は秋(9〜10月)とのこと。

 花

 実
 2009.9.14訂正加筆
 記:島乃ガジ丸 2005.8.30  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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