マンジェリコン
 たまに買い物に行くホームセンターには近辺の農家が作物を直接納入できるファーマーズマーケットのような一角があり、今年(2018年)7月、葉を数十枚束ねてビニール袋に入ったものが売られていた。袋の表には「マンジェリコン」と書かれてあった。
 マンジェリコン、前回紹介したボルトジンユと同様、ブログ相互読者でハーブや薬草に詳しいコスモスさんに教えてもらったもので、教えて貰った6月以降その実物を探していたもの。ところが、ネット上でも園芸店でもマンジェリコンとボルトジンユは混同されていて、園芸店で苗物として売られていたマンジェリコンはコスモスさんが言うボルトジンユであり、マンジェリコンの苗物は探せずにいた。それが野菜として売られていた。

 今は手放している300坪の畑には、前にそこで農夫をやっていた友人のKが植えて残した植物がいくつもあった。畑を初めて2年目の春、その中の1つに今まで見たことのない花が咲いた。Kが畑へ遊びに来た時に訊いたら「マンジェリコンだよ」と言うので、その写真を撮り、マンジェリコンと名前をつけてパソコンの中に収めていた。
 野菜として売られていたマンジェリコンの葉を購入し、よーく観察して、パソコンの中のマンジェリコンと名前をつけた画像と見比べて、両者は同じものか、あるいは、互いに相当近い植物であると確信する。葉の形状も大きさも同じ位であった。
     
 マンジェリコンの葉は大きく毛が生えていて、ボルトジンユの葉は小さく毛は生えていない。それはコスモスさんが言っていた両者の違いの通りであった。ボルトジンユの葉は臭いが少々きついが、マンジェリコンの葉は臭いもきつくない。
 
 マンジェリコン(まんじぇりこん):薬草
 シソ科の一年草 熱帯アジア、アフリカ、太平洋諸島に分布 方言名:不詳
 名前の由来は資料が無く不明。マンジェリコン、きっと日本語ではない、原産地の呼び名であろうと思われる。『琉球薬草誌』に「和名はメボウキ」とあったが、メボウキは知っている、バジルの和名である。学名を見ると、本種はOcimum gratissimum Lで、バジルはOcimum basilicumとなっていて同属。本に記載されていることが正しければの話。
 文献に非耐寒性常緑多年草とあり、温帯地方では一年草扱いとのこと。亜熱帯の沖縄では多年草となるかもしれないが、そういった情報はまだ得られていない。
 『琉球薬草誌』に花色について「白や紅色がかった」とあり、開花期について「7〜11月」とあったが、私がマンジェリコンと認識している植物は、花色は紫色で、2月下旬には花穂を出し、3月には花が咲いていた。ということで、ここでは開花期を春から夏ということにしたが、いろんな品種があって花色や開花期もいろいろあるのかもしれない、それについても正しい情報はまだ得られていない。
 草丈は60〜90センチ。これについては、私が見たものもほぼ同じ。まだ移入されて時が浅いのか、『琉球薬草誌』以外に本種を紹介している文献がなく、情報不足。
 生の葉を料理やハーブティーに用い、乾燥させた葉を煎じて服用する。糖尿病の特効薬とあり、食欲不振、胃腸炎、不眠症、疲労などにも効果があるとのこと。 
 花
 記:島乃ガジ丸 2018.10.16  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 
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