コムギ
 沖縄には田んぼが少ない。田んぼというと、稲作よりも芋(タイモ)の方が多いんじゃないかと思う。田んぼが少ないので当然ながら沖縄産米は少ない。そして、沖縄産小麦はもっと少ない。米は水を引かないといけないので考えになかったが、小麦は作ってみたいと思っていた。もちろん、腰が元気で畑仕事をバリバリやっていた頃の話。
 人生の最終章はこうなるであろうという私の予定では、芋(サツマイモ)を基本の主食とし、小麦も少々栽培し、収穫したら粉にして、練って、ウドンにして、春(収穫は4月頃)のご馳走にしよう、ヒラヤーチー(沖縄風お好み焼き)も作って食べよう。などと妄想していた。腰が元気だった頃の暢気な素人農夫の夢であった。
 
 沖縄産小麦は下に書いているように沖縄での栽培面積は1960年がピークだったようで、1983年頃には「ほとんど栽培されていない」状況だったらしい。私は、デジカメで植物動物をパチパチ撮るように前だから、たぶん20年程前、2000年頃に小麦畑を見ている。場所は沖縄島本部町の瀬底島だったと覚えている。営利栽培しているというほどの規模ではなく、他の農作物をやりながらの片手間といった程度の面積。
 それから10数年を経た2016年4月、同じく片手間といった程度の面積(私の目分量で約100坪)の麦畑を見つけた。その時ちょうど刈入れ時のようで、主らしき男性が作業をしていた。厚かましい私はすぐに彼に声を掛ける。
 「それ小麦ですか?」
 「はい、そうです。」
 「売り物ですか?」
 「いえ、ほとんど自家消費ですね。」とのことであった。沖縄産米はスーパーや八百屋で見かけるが、沖縄産麦はそういえば見たことが無い。 
 コムギ(小麦):穀物
 イネ科の一年草 世界の多くに分布 方言名:ンナムギ
 名前の由来は資料が無く不明。小麦という漢字表記は広辞苑にあった。
 形態的形質の違いで一粒系、二粒系、普通系の3つに大別される。世界の栽培品種の90%以上は普通系の「パンコムギ」であるとのこと。
 粒質にも違いがあり、ガラス質、粉状質、中間質とがあり、ガラス質は製パン用に、粉状質は麺類にそれぞれ適している。ガラス質コムギは高温多雨を嫌うため、日本では粉状質小麦が主に栽培され、ガラス質コムギは北海道で栽培されているとのこと。
 種子は、味噌や醤油などの原料になり、小麦粉にしてパンや麺類に加工し主食となるほか、菓子にもなる。茎は麦藁細工、家畜の飼料などに利用される。
 以上の情報は概ね『沖縄大百科事典』によるが、さらに「沖縄では1960年に1000ヘクタールの栽培面積があったが年々減少し、現在はほとんど栽培されていない」と書かれてある。のこと。『沖縄大百科事典』は1983年の発行、それから40年近く経って現在はどうかと言うと、県のデータによると、「ほとんど栽培されていない」は2006年から増え始め2016年には25ヘクタールを超えている。 
 穂
 記:島乃ガジ丸 2019.6.26  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
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 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
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 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
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 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『沖縄食材図鑑』田崎聡著、有限会社楽園計画発行
 『自分で採れる薬になる植物図鑑』増田和夫監修、柏書房株式会社発行
 『家庭で使える薬用植物大図鑑』田中孝治著、社団法人家の光協会発行
 
 
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