ハツカダイコン
 私が借りている畑は、元宅地だった所で、私が記憶している限りでは少なくとも25年前から空き地となっていた。空き地は概ね荒地となる。3年ほど前、畑にしようと私が手を入れた時はまさしく荒地、雑草が生い茂っていた。
 雑草を刈り取るのも難儀な作業であったが、土を耕すのまた「エライこっちゃ」であった。元は宅地だ、土は畑に適した土では無い、大小の石、コンクリートやアスファルトのガラがどんどん出てくる。今、畑には縁石や砂利敷きの園路を作ってあるが、それらの材料はほとんど、私が地中から掘り出したもので賄っている。
 耕すのが難儀であったのは石やガラが多かったせいだけでは無い。土そのものがとても固かったのだ。枯れ葉などの有機物がほとんど含まれていない赤土の締め固まった土、作物を育てるにはあまり適さない。土作りから始めなければならなかった。
 「いつかはダイコン」という目標を持って土作りをしている。ダイコンの地上部に出た葉を握って、引っ張って、それでダイコンが抜けるようにしたい。それには40から50センチの深さまで土がある程度柔らかく(団粒構造とか言う)なっている必要がある。徐々に深くまで耕してきてはいるが、やっと30センチ位までは来た。
 ダイコンは私の食卓にたびたび顔を出す。ソーキ汁、テビチ汁、豚汁には欠かせない具材だ。酢の物や漬物にもしている。冬季は特によく使う。今年の秋にはたぶん、私の初めてのダイコン栽培ができるであろう。冬には自前のダイコンが食えるであろう。

 3ヶ月ほど前、畑にハツカダイコンの種を蒔いた。農協の種のコーナーを見ていたらハツカダイコンが目に付いた。「ありゃ、別に柔らかい土が深くなくてもダイコンはできるじゃないか」と気付いたのだ。種の蒔き方が悪かったのか、その後の管理が拙かったのか知らないが、60粒ほども蒔いて、できたのはたったの2株であった。

 ハツカダイコン(廿日大根):根菜
 アブラナ科の一年草 中央アジア以西原産 方言名:アカデークニ
 廿日は二十日のこと。広辞苑に「20〜30日で食用となる」とあり、名前の由来となっている。ダイコンの由来も広辞苑にあり、「大根(おおね)の音読から」とのこと。大きな根、確かにその通り。方言名のアカデークニ、アカは赤、デークニはダイコンの沖縄読みで「赤いダイコン」ということ。ハツカダイコンは赤色が普通種。ラディッシュという名でもよく聞くが、それはradishと書き、ダイコンの英語名。
 「20〜30日で食用となる」のは夏季で、冬季は収穫までに6〜7週間を要する。収穫期が遅れると「ス入り」になるとのこと。根の色は赤の他、紫や白色などがある。
 食べ方は主に生食でサラダ、酢の物、また、酢漬けや塩漬けなどの漬物にされる。小さい(径2〜5センチ)ので、私はオーブントースターで焼いて(5〜6分、ミディアムレア状態)食ったり、蒸して食ったりしている。日本酒の肴になる。
 ちなみに学名は、
 ダイコン Raphanus sativus var. longipinnatus
 ハツカダイコン Raphanus sativus var. sativus
 記:島乃ガジ丸 2012.4.13  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
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