エンドウ
 3月19日(日曜日)、養秀同窓会(首里高校の同窓会)の主催するコンサートが那覇市民会館で催された。タイトルは『宮良長包メロディーとその一中出身の作詞者たち』。「一中」とは旧制中学校の一中で、現在の首里高校の前身。宮良長包は沖縄の有名な作曲家、それが私の大先輩であったということは、今回始めて知った。唱歌のコンサートなどに特に興味があったわけでは無いが、友人との付き合いもあって、出かけた。
 コンサートで演奏された歌で、私が知っている歌は2曲あった。首里高校校歌と、もう一つは『えんどうの花』。「えんどうの花の咲く頃は」と始まる『えんどうの花』は、ウチナーンチュの多くが知っている情感たっぷりの名曲である。であるが、私はその後に続く歌詞をよく覚えていない。大先輩には申し訳ないことである。
 私はまた、えんどうの花がどんなものなのかを知らなかった。えんどう豆は子供の頃から身近にあり、豆ご飯といえば、我が家ではほとんどえんどう豆が使われた。子供の頃遊んだ銀玉鉄砲の、銀玉を買う金が無い時には、えんどう豆で代用した。

 首里城公園の裏手にあたる首里崎山を散歩している時に、民家の庭の一角にある家庭菜園らしい場所に、いかにも豆のできるマメ科の植物らしき花を見つけた。一月ほど前にシカクマメの花の写真も撮っていて、それと似たような花。これも食える豆であろうと見当をつけて調べる。それが何とまあ、名前はよく知っているエンドウなのであった。

 エンドウ(豌豆):豆・野菜
 マメ科の一年生又は二年生草本 原産はコーカサス、他 方言名:インドーマーミ
 エンドウという名は、豆類を中国に輸出していた大宛国という国名に由来するかも、と広辞苑にあったが、詳細は不明。古く(日本でも9世紀頃)から栽培されていたものなので、どこかの遠藤さんが発見したから、ということでは、まず無かろう。
 ダイズ(エダマメ)同様、連作がきかない。花色は白、赤、紫などがある。品種によってサヤエンドウかミエンドウかが決まり、花色はあまり関係ないようだ。「完熟した時、莢の表面に皺の多いものがサヤエンドウ、少ないものがミエンドウ」とのこと。開花期は春と文献にあったが、沖縄では秋から春にかけて開花し、結実する。
 葉の先端に巻きひげを持ち、ものに絡みついて高さ1〜2mほどになる。茎葉は飼料にもなり、全世界に分布する主要作物の一つ。遺伝学の実験材料でもある。

 花
 記:島乃ガジ丸 2006.4.2  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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