ドクダミ
 首里に住むIさんから「近所でドクダミらしきものを見た」といった内容のメールがあった。私が調べた限りでは、ドクダミは沖縄に自生していない。自生は無いが、栽培されているものはある。おそらく、Iさんが見たものは栽培のドクダミであろう。
 そういえば、と思い出した。ドクダミをまだ紹介していない。写真は既に撮ってある。2006年6月と去年2011年7月に撮ってある。去年のもの、日記を調べると場所は読谷村座喜味だ、座喜味のやちむんの里の、ある焼き物工房の庭で見つけた。
 2006年6月は、もう6年も前だが日記はちゃんとつけている。場所は愛媛県の松山であった。四国の旅をした時だ。「松山のどこでどんな状況で」といった詳しいことは日記に無いので、当時の記憶を辿ってみる。が、軟化しつつある脳味噌をどんなにほじくっても、まったく思い出せない。「坊っちゃん電車なんてのがあったなぁ」だけ。
 でもまだ、諦めてはいけない。私は日常メモのような日記の他、旅に出た場合は旅日記なるものも記してある。四国の旅も旅日記がある。それを読み返す。
 「あー、そうだった、山頭火の終の棲家を訪ねたんだった」、軟化しつつある脳味噌がのそのそと動き出した。終の棲家「一草庵」の佇まいが脳裏に浮かび、建物の裏手の庭にドクダミが茂って、多くの花を咲かせている光景を思い出した。

 ドクダミ(蕺草):薬草、野草
 ドクダミ科の多年草 原産は日本、中国 方言名:不詳
 名前の由来、広辞苑に「毒を矯める・止める、の意」とあった。漢字の蕺草も広辞苑にあったが、蕺という字は漢和辞典に無く、何のことか不明。「毒を矯める」の矯めるは同じく広辞苑に「改めなおす。正しくする」とあり、そのような効果のある草となる。
 「正しくする」効果のある草、その名の通り重要薬草の一つとされている。『沖縄園芸百科』に「高血圧、便秘、アレルギー体質、心臓病、動脈硬化の予防」、「膀胱炎、前立腺」、「鼻炎、ちくのう症、中耳炎」などに効果があると記載され、広辞苑には「消炎・利尿剤などとして用い、葉は腫物に貼布して有効」とあった。
 茎は直立して、高さ15~30センチほどになる。白い根茎を伸ばして広がる。花は小さく淡黄色で目立たない。白い花弁に見えるものは総苞と呼ばれる葉の変化したもの。開花期は6月から7月。葉は心臓形で全草に臭気がある。
 湿地を好み、半日陰で生育が良い。雑草として全国に分布し、また、薬草として栽培される。天日で全草を乾燥させ、煎じて服用する。

 花
 記:島乃ガジ丸 2012.7.4  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
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