ダイコン |
ダイコンは沖縄料理でもよく使われる。行事料理に出るウサチという酢の物、おでんや煮付けなどの煮物、テビチ(豚足)汁やソーキ(骨付きあばら肉)汁などの汁物の他、デークニイリチー(切干大根の炒め煮)のような炒め物としても使われる。 私の母は、家庭料理の味噌汁の具材にもよく使っていた。豚三枚肉(皮付きばら肉)、ダイコン、ゴボウ、ニンジンなどの味噌汁。私は大好きであった。 料理上手な母はもちろん、上に並べたウサチ、おでん、煮付け、テビチ汁、ソーキ汁、デークニイリチーなども作った。母の作る煮付け、テビチ汁、ソーキ汁は、夏場にはダイコンでは無くシブイ(冬瓜)が使われ、子供の頃の私は柔らかくて味の浸み込みやすいシブイの方が断然好みであったが、ダイコンも嫌いでは無かった。 浸み込みやすいと言えば、市販のおでんや飲み屋のおでんのダイコンは味が十分に浸み込んで、しかも柔らかくて美味しい。であるが、オジサンとなった今は、味が表面だけについたダイコンも好きになっている。オジサンとなった今は、素材そのものの味が不明確なシブイよりも、「私はダイコンである」とその味をちゃんと主張しているダイコンの方がむしろ好きになっている。なので、ダイコンは生で食うことも多い。 生でも煮ても美味しいダイコンだが、年中食べているわけでは無い。農夫を始めて、野菜の植え時、収穫時期などを調べるようになって、作物は「旬のものは旬に」で育てた方が病害虫の不安が少ないということが判った。そして、旬のものは生で齧っても美味しいということも判った。ダイコンの旬、沖縄では冬場。 ダイコン(大根):根菜・葉菜 アブラナ科の一年草または二年草 原産地は不明 方言名:デークニ 名前の由来は広辞苑に「大根(おおね)の音読から」とあった。大根(おおね)は文字通りの意で、解りやすい名前。別名スズシロとも言うが、これは清白菜(すずしろな)の意と広辞苑にあった。春の七草の一つ。方言名のデークニはダイコンの沖縄読み。 根の部分が大きくなり食用となるが、葉も美味しく食べられる。ただ、葉には小さな虫がつきやすい。根の部分に虫害はほとんど無い。 根は概ね白く、形は丸々と太ったもの、長いものなどある。前者の代表としては桜島大根があり、沖縄の島大根もその種。後者には守口大根、青首大根がある。 沖縄での栽培は、概ね秋に播いて冬に収穫、概ね冬に播いて春に収穫の2期ある。種を播いて60日ほどで収穫となる。8月に播けば10月収穫、2月に播けば4月収穫となるが、地産のダイコンが店頭に並ぶのは冬がピーク、冬が旬と言える。 地上部は高さ50センチほどになり、茎の先に総状花序を出し、白、または淡い紫色の花を多数つける。開花期、広辞苑には晩春とあったが、沖縄では3月から。 花 |
記:島乃ガジ丸 2013.3.31 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行 |