バナナ
 私は、概念としての猫は嫌いでは無い(どちらかというと好きかも知れない)が、今、私の周辺に存在する猫たちは嫌いである。私に、臭いという不快感を与える存在として嫌いである。不倶戴天の敵、と言ってもいいほどに嫌いである。
 (存在する)猫の嫌いな私ではあるが、不本意ながら、私の顔はどちらかというと猫顔である。昔付き合っていた女にそう言われて、「そうかあ?」と疑問に思いつつ、鏡を見ると猫のように見えなくも無かった。以来、あえて分けるとすれば、私はどちらかというと猫顔なのだと認識するようになった。
 猫顔である私はいかにも猫顔らしく、食い物は肉より魚の方がどちらかというと好きである。しかし、猫顔である私だが、1年間でもっとも多く食べている食物は、米の飯を除くとおそらく、猿の大好きなもの、バナナに違いない。
 概ね11月から3月にかけては柑橘類、4月から5月は苺、6月から夏にかけてはサクランボ、桃、葡萄、秋になると梨、林檎、柿などの果物を買って食べている。それらは旬のものであるが、バナナは、旬とは関係なしに食べている。そして、これが1年トータルすると最も量の多い、ダントツに多い果物となっている。
 冬場(概ね11月から3月)は1房5、6本のものを週に1回買い、夏場は1房4、5本のものを週に2回買っている。冬場は1日1本だが、夏場は2本食うこともある。暑いと傷みが進みやすいのだ。うっかりしていると中まで黒くなってしまう。
 猫顔なのに何ゆえバナナかというと、朝寝坊したときのカロリーメイトにしているからだ。9時出勤なのに8時過ぎに目が覚める時がまれにある。そんな時は、バナナのみを朝食にする。バナナは脳を活性させる速攻食物だと、前に「あるある」だったか「ガッテン」だったかで観た覚えがある。以来、バナナは猫顔の常備食となっている。

 シマバナナというバナナがある。沖縄産のバナナという意味。子供の頃はよく口にしたのだが、最近あまり見かけない。近所の4つのスーパーではこの11年間で1度もお目にかかっていない。バナナは台風に弱く、収穫が安定しないのだと散髪屋のオヤジが言っていた。草本性で幹が軟い割には背が高くて倒れやすいのだ。だから、バナナ農家というのはほとんど存在していないらしい。何かのついでの栽培物がまれに出回るらしい。そんなシマバナナなんだが、子供の頃の私の記憶によれば、普通のバナナより美味しかった。

 バナナ(banana):果物
 バショウ科の多年生草本 原産は熱帯アジア 方言名:バサナイ
 バナナは英語で、和語では甘蕉、または実芭蕉という。実芭蕉は繊維を採る糸芭蕉(沖縄の芭蕉布で有名)や、花を楽しむ花芭蕉に対し、果実を採るための芭蕉という意だと思われる。甘蕉の蕉も芭蕉の略で、(果実が)甘い芭蕉という意であろう。
 日本で普段食べているバナナの果実には種が無い。バナナは「雌雄異花だが、ふつう単為結果し、種子を作らない」(広辞苑)とのこと。ただ、以前にも紹介しているが、2008年まで職場の庭にあったバナナには種があった。バナナも人の子、ならぬ植物の子、元々は種を持っていたのだ。種のあるバナナは原種に近い種ということであろう。
 島バナナは小笠原という品種で、原産地はマレーと言われている。幹の丈が高く、実は小さく収量は少ない。果実は糖分が多く、酸味を含み味は良い。
 沖縄では他に三尺バナナという種も栽培されているとのこと。矮性種であるテイキヤクミバショウという種類に含まれ草丈が低い。低いと言っても三尺(約90センチ)ということではあるまい。低いということを三尺という言葉で表現したのであろう。
 島バナナは完熟すると炭そ病に罹りやすく、三尺バナナは委縮病に罹りやすい。果樹と
紹介しているが、木本類では無く草本類、植物学的には野菜となる。

 花

 実

 原種の房

 原種の中身
 訂正加筆:2012.7.15 ガジ丸
 記:島乃ガジ丸 2005.2.18  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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