サポジラ
 近所の庭には私の知らない植物がいくつもある。すぐ近くの、大きなオオバナサルスベリのある家に、そのサルスベリの隣にある樹木も、私の知らないものであった。花でも咲いてくれれば写真に撮って調べようと思っていたのだが、花は目立たなかった。
 ある日、花が咲いたのにはまったく気付かなかったのだが、その木に実がついているのを発見した。実はテニスボールを少し小さくしたくらいの大きさ。そんな大きさだからすぐに気付く。見た目、パッションフルーツみたいで、食えそうな気配がした。さっそく写真に撮って、後日調べる。サポジラという名であった。
 『沖縄園芸植物大図鑑』と『沖縄植物野外活用図鑑』に、果実はたいへん甘く、干し柿に似た風味」とあったので、そのサポジラの持ち主に頼んで、貰って、食べてみようと思ったのだが、そう思ったその日、その家の前に行くと、たくさんの木の枝が切り落とされてまとめられていた。おそらく造園屋さんが庭手入れに来たのだろう、サポジラの木もばっさりと剪定されていた。残念ながら、果実は残っていなかった。しかし、もしあったとしても、品種によって味に大きな差があると『沖縄園芸百科』にあったので、近所のものが美味しいかどうかは不明。その確率5割といったところ。来年は、その時期が来る前にその家の人に頼んで、味見させてもらおうとは思っている。

 サポジラ:野菜・果物
 アカテツ科の常緑高木 熱帯アメリカ原産 方言名:なし
 サポジラは英語のsapodillaから。英語名は他にいくつもあって、Chicle treeはチューインガムの原料チクルが採れることから。で、Chewinggum treeともいう。サポジラの樹液を煮詰めたものがチクル(chicle)と呼ばれている。
 文献には高さ10m以上、あるいは20mなどと書かれているが、近所のものは12年前から高さ5mほどに留まっている。品種が30種前後あるというので、高さもいろいろあるのだろう。大木でなければ、樹形が整っているので庭木としても十分使える。
 果実の形や大きさは品種によって異なり、卵形もあれば球形もあり、大きさは50グラムから200グラム以上のものまである。味も品種によって大きく違う。収穫期は4〜5月開花、8〜10月収穫と、9〜10月開花、4〜5月収穫の年に2回ある。
 実
 記:島乃ガジ丸 2005.10.29  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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