ナツメヤシ
 望まない戦争が始まってもう1年半は過ぎただろうか、イラクは未だに厳しい環境にあるようだ。テロは続き、各国の軍隊が撤退する状況にはほど遠いみたいである。
 先日、久々にイラクの、テロの惨劇でない画像をテレビで見た。農場の風景であった。「戦争で農地が荒らされた上、いつテロがあるかと不安で農作業も落ち着いてできない。今年の生産量も例年よりずっと少ない。」と農場の持ち主らしい人が語っていた。
 砂漠地帯の多い中東の国々は、農業に適した土地が少なくて、農地も農業に携わる人も少ないのかと思っていた。いやはや、私の勉強不足なのである。よーく考えれば、国土の全てが砂漠などということは無いのである。また、定住する人がいるということは、そこに農業のできる土地がある可能性が高いと言えるのである。

 イラクの農場で栽培されていたのはナツメヤシであった。これにも私は驚いた。ナツメヤシが食料になるのかと。沖縄にもナツメヤシは植栽されているが、それが果樹という地位にあるということは聞いたことがなかったのである。
 私の目がキラリと光る。これは、従姉をおだてて、彼女の家の庭に1本、ナツメヤシを植えてもらおう。大地震にでもなって、食糧不足になった時、役に立つに違いない。

 ナツメヤシ(棗椰子):公園・果樹
 ヤシ科の常緑高木 原産分布はインド西部・メソポタミア地方、他 方言名:なし
 幹がギザギザしていて、それが棗(なつめ)の模様と一緒なのでナツメヤシという名前なのかと思っていたら、果実が棗のような形をしているとのこと。その果実は食用となり、生食の他、ゼリー・ジャムの原料、乾燥果実として加工され中近東では重要な農産品となっている。樹液からは砂糖が採れ、醸造酒や蒸留酒(アラック酒)に加工される。
 高さ20mに達する高木で、街路樹や公園木として利用される。また、上述の通り果樹でもある。沖縄でも結実するのであれば、食べてみたい。
 陽光の差す、乾燥地を好む。白い小さな花が群がって咲き、芳香がある。開花期は3月から5月、結実期は10月から12月。同じフェニックス属のシンノウヤシもそうだが、本種にも葉柄の下部に鋭い棘がある。
 英語名はDate palm。dateがナツメヤシの実を指す。恩納村から名護市にかけての国道58号線に街路樹としてある。
 ちなみに、和名の由来の棗(なつめ)はクロウメモドキ科の落葉高木で、果実は生食や菓子の原料、薬用などに利用されている有用植物。

 実

 葉

 幹
 記:島乃ガジ丸 2005.11.27  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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