カキ
 沖縄産のカキ(果物)を私は食ったことが無い。カキノキは民家の庭などにちょくちょく見かける。が、スーパーなどに沖縄産のカキが並んでいるのを私は見たことが無い。
 数年前に叔父が、庭にあるカキノキの、実がたくさん生っているのを見ながら、「あれは渋柿なんだ。でも、泡盛を使って、ちょっと寝かせておけば旨くなるぞ。」と言っていたが、未だにその旨くなったカキをご馳走にはなっていない。
 干し柿は、私の好物の1つで、毎年時期になると購入して、お茶請けにしたり、日本酒の肴にしたりして楽しんでいる。その干し柿が、自分で作れたらいいなあと前から思ってはいるが、私より経験の長い叔父から良い便りが来てから、叔父からその作り方のノウハウを教えて貰ってからにしようと考えている。カキは職場にあるので、実は手に入る。
 カキの果実からは渋が採れる。柿渋という。伝統的な和傘の塗料に用いられる。その柿渋を使って、私は部屋のテーブルを塗った。塗ってしばらくは淡い感じだったのが、1年以上が過ぎた今、とても深い味わいのある色になっている。「渋い!」って感じ。

 カキ(柿):果樹・添景
 カキノキ科の落葉高木 原産分布は中国、日本 方言名:カキ
 日本に自生していると『沖縄園芸大百科』にあったが、広辞苑には「長江流域に野生、日本に輸入されて古くから栽培。」とあった。まあ、三代続けば江戸っ子ともいうし、カキも日本に来てから三代は遥かに超えていよう。で、日本に自生と言えるのだろう。
 日本で改良された多くの品種がある。品種は甘柿と渋柿に大きく分けられるが、どちらも沖縄では農産物とはなっていない。台風による落果、倒木などの被害はあまり無いようだが、隔年着果性で、着荷率も悪く、営利栽培できるほど収穫はできないようだ。
 民家の庭でたまに見かける。1本あれば、家族や、隣近所に分けるくらいは採れ、秋らしくない沖縄でも秋を楽しむ味となってくれる。収穫期は10月中頃。
 民家の庭に植えられるのは、庭木として良い景色となってくれるからである。高さは5mほどになり、秋に黄赤色の大きな実をつけてくれ、冬場は完全に葉を落すので季節を感じさせてくれる景色になる。材は緻密で堅く、建築、器具に利用される。

 実
 記:島乃ガジ丸 2005.10.29  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
inserted by FC2 system