マルバチシャノキ
 首里城周辺はガラッと変わった。守礼の門、園比屋武石門など変わらずに残っているものも多いが、しかし、首里城及び、関連する施設、駐車場などが大きい分、全体の景色はすっかり変わってしまった。そんな中を4月のある日、観光客に紛れて散歩した。
 どこからどうみてもウチナーンチュジラー(沖縄人面)した私であるが、リュックを背負って、手にカメラを持っているからであろう、観光客と間違えられて、守礼の門前にいる記念写真屋の琉装のお姉ちゃんに声をかけられた。
 「ワネ(我は)、シマー(島の人間)ドゥヤシガ(だけど)」と、わざとウチナーグチで言う。お姉ちゃんは一瞬キョトンとするが、すぐにニコッと笑って引き下がった。言っている意味は理解できなくとも、それがウチナーグチであることは解ったようだ。「近くで見ればこのオジサン、ウチナーンチュさあ」と思ったのかもしれない。

 守礼の門を抜けて首里城へ向かう。入口の右側にちょっとした広場があって、そこにあるネズミモチの花にチョウがいる。ナミエシロチョウだ。写真を撮る。そこから上の方をちょいと見ると、グラジオラスの花が咲いている。写真を撮る。そこからさらに上の方に見慣れない樹木があった。葉が厚く、表面にシワシワがある。こんな葉っぱそうあるものではない。これだけでおそらく名前が判明するであろうと、写真を撮る。

 マルバチシャノキ(丸葉萵苣の木):公園
 ムラサキ科の落葉高木 原産分布は種子島以南、南西諸島、他 方言名:スサンキギ
 チシャノキの葉が長楕円形なのに対し、本種は丸い葉をしているのでこの名がある。チシャノキの頁でも書いたが、チシャ(萵苣)とはレタスのことを指す。葉の形をレタスに見たのか、葉の味がレタスに似ているのか、何なのか不明。
 元々は建築用材だったらしいが、緑化樹としても使われるようになったとのこと。私は首里城公園で4月に見つけた。革質で皺のある葉に特徴があり判りやすい。夏に黄橙色に熟し目立つという果実の写真を撮りに、先週も同じ場所に出かけた。
 高さは5mほど。陽光地を好む。花色は白で芳香がある。開花期は3月から6月とのことだが、4月の首里城のものは既に花は無く、果実となっていた。その果実はまだ青かったが、8月の果実は文献にある通り、目立った。結実期は7月から10月。

 実4月

 実8月
 記:島乃ガジ丸 2006.8.12  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
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