カユプテ |
カユプテのある場所を私は二ヶ所知っている。既に全体と果実、特徴ある幹肌の写真は撮ってあるが、花の写真を撮ってから紹介しようと思っていた。今、その花の時期。で、6月11日、二ヶ所のうちの一つであるパレット久茂地へ出かける。5月の終わり頃に強い台風が襲ったので「花はダメかも」と思っていたが、その通りダメだった。 台風から三週間が過ぎた6月17日、午前中、畑仕事を少しとガジ丸HPのアップをして、午後、二ヶ所のうちのもう一つ、糸満市にある平和創造の森公園へ出かけた。三週間もあれば花が復活しているかもしれないと期待したが、期待は外れた。 カユプテを紹介する際の小噺は写真を撮った時(今年1月)に既に思いついていた。 「おー、なんだいオメェ、その手、ずいぶん腫れてるじゃねぇか?」 「あー、かぶれたみたいだ。」 「かぶれたって、毒虫にでも触ったか?」 「いや、虫じゃなくて、たぶん木だな。」 「木って、あー、そうか、ウルシみたいな奴だな?」 「ウルシでは無かったな、幹がプヨプヨしていて、白い花が咲いていたよ。」 「ほう、何て言う木なんだろうな?」 「何でも良いけど、もうカユプテ、カユプテ。」 チャンチャン、お後がよろしいようで。という小噺。ただし、カユプテでかぶれるということは無い。カユプテはむしろ薬となる。精油が採れ、鎮痛薬、芳香薬の他、軟膏の原料にもなるとのこと。カユプテから作られた軟膏は「かゆぷて、かゆぷて堪らない時に使える軟膏」というわけでは無く、傷や火傷などに用いるらしい。 カユプテの花の写真は2013年10月になってやっと追加。 カユプテ(Cajuput):公園 フトモモ科の常緑高木 原産分布はオーストラリア西部、東南アジア 方言名:なし 『亜熱帯沖縄の花』に「カユプテはマレー語で「白い木」という意味」とあった。広辞苑にそのマレー語kayuputihがあって、日本語表記はカヤプテとなっている。おそらく、現地での発音はカヤプテに近いのであろうが、私が参考にしている植物の本では全てカユプテとあるので、ここでもカユプテとする。ちなみに学名はMelaleuca leucadendra。 高さは20m以上になり、民家の小さな庭には不向き。樹皮が紙のように剥がれるのが特徴で、その幹肌、及び堂々とした樹形が観賞価値となる。 『亜熱帯沖縄の花』に「幹を触るとスポンジのように柔らかく、指で押すと簡単にへこんでしまう」とあったので、試してみた。その通りであった。 長さ10センチほどのブラシ状に黄白色の花をつける。開花期は5月から10月。ブラシ状の花は、花が枝にいくつも並んで四方八方に出るのでそう見える。花の一つ一つが実になって、果実もまた、枝に並んで四方八方につく。結実期は9月から12月。 陽光、適潤を好み、過湿状態では立ち枯れをおこすとのこと。枝葉からカユプテ油が採れ、防腐剤等に利用される。葉はお茶として利用されるとのこと。 花 実 幹 |
記:島乃ガジ丸 2011.6.19 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行 |