イチョウ
 学生の頃、東京に5年間住んでいたので、秋になるとイチョウの葉が鮮やかな黄色になることは知っている。大学卒業後、沖縄に帰ってからも、紅葉の季節に倭国を旅しているので、モミジなどの紅葉はもちろん、イチョウの黄葉も見ている。銀座の銀杏並木は記憶に無いが、京都の○○条通りの街路で黄葉のイチョウを見ている。
 従姉の家が建てられたのは、さっき電話で確かめたら33年前とのこと、私はまだ大学生だ。その新築の頃から何度も遊びに行っているが、そこの庭に大きな(新築当時は小さかったのかもしれない)イチョウの木があることに気付いたのは、何年も、あるいは10年以上も経ってからだ。「ここのイチョウはきれいに黄葉しないねぇ。」と親戚の誰かが言って初めて、「あっ、イチョウだ。」と気付いた。
 「きれいに黄葉しない」は何度秋がやってきても同じだった。職場の隣の家の庭にもイチョウがあった。これもまた、何度秋がやってきてもきれいに黄葉しない。植物に詳しい同僚に聞くと、「沖縄では寒さが足りないので黄葉も不完全」とのこと。
 それでも、見る楽しみが無くても食べる楽しみがあればいいや、と思って、ギンナンができるのを待っていたが、これもまたいっこうに生らない。イチョウは雌雄異株だ。2本とも雄だったかもしれない。あるいは、数年前に、浦添大公園にイチョウが2本あるのを発見した。秋に何度か通ったが、これにも実が生らない。もしかしたら、沖縄では花も咲かないのかもしれない。ただ、冬になると、きれいさっぱり落葉はする。

 イチョウ(鴨脚樹・銀杏・公孫樹):公園
 イチョウ科の落葉高木 中国原産 方言名:ハベルギー、ハベルバー
 鴨脚樹・銀杏・公孫樹などの字は広辞苑にあった。鴨脚樹は葉の形から、銀杏は種子のギンナンから来ていると思われる。公孫樹(こうそんじゅ)を広辞苑で引くと、イチョウの漢名で「老木でないと実らず、孫の代に実る樹の意」とあった。
 方言名のハベルギー、ハベルバーは解りやすい。ハベルは蝶や蛾のこと、ギーは木、バーは葉のことで、蝶のような木、蝶のような葉となる。イチョウの葉を、中国人は鴨の脚に似ていると見たが、ウチナーンチュは蝶に似ていると見たわけ。
 高さは30メートルほどにもなり、神社の境内や公園、広い道路の街路樹に多い。
 前述したように、名前の由来なるほど葉の形が特徴的、ウチナーンチュは蝶だが、広辞苑には扇状とある。葉はまた、秋になると黄葉することでも有名。
 春に黄緑色の花を咲かせ、秋に結実する。外側の肉質部は悪臭を放つが、種子はギンナンと呼ばれ、中の核が食用となる。幹は直径2メートルにもなり、材も利用される。
 『沖縄植物野外活用図鑑』に「黄色にもみじし、落葉します。」とあったが、私が知っている限り、沖縄では僅かに黄色っぽくなるだけで、きれいでは無い。また、ギンナンが生っているのも見たことが無い。気候が合わないのか、あるいはまた、雌雄異株ということなので、従姉の庭のもの、職場の隣にあったもの、公園のものも雄だけ、あるいは雌だけで、それで、ギンナンができないのかもしれない。詳細は不明。

 葉

 落葉
 記:島乃ガジ丸 2009.3.30  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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