ギランイヌビワ
 イヌビワやハマイヌビワ、オオバイヌビワなどを調べているともう一つイヌビワと名のつく植物があることを知った。実物にお目にかかったことは無いが、名前だけはすぐに覚えることができた。怪獣のような名前、ギラン。
 名前は「怪獣のような」という特徴を持っているギランイヌビワ、性質的には「幹や太い枝に直接果実がつく」という特徴がある。だが、それはアコウも一緒。アコウも同じクワ科イチジク属。私に見分けがつくだろうかと不安に思っていたが、ある日、琉球大学のキャンパスを散歩していたら、「幹や太い枝に直接つく果実」がついている樹木に出会った。それは、アコウと見間違えることは無かった。幹肌が目立って白かった。
 「ほほう、あなた、もしかしてギランイヌビワさんですか?」と、失礼して、写真を撮らして頂き、帰って調べる。「そうです、私がギランイヌビワです」であった。

 ギランイヌビワ(ぎらん犬枇杷):公園
 クワ科の常緑高木 石垣島以南、台湾、東南アジアなどに分布 方言名:アハカブリキ
 同属のイヌビワは、果実の見た目がビワに似ているが、ビワの実より小さく、味も劣っているというところからその名がきている。本種はそのイヌビワに似ているからイヌビワとつく。がしかし、ギランとはまた、わけの解らない名前なのである。ギンランという植物があって、それに花か実が似ていて、で、ギンランが詰ってギランイヌビワとなった、のかとギンランを調べる。ギンランは銀蘭と書きラン科の多年草、どこをどう見ても本種とは似ていない。ならば違う観点から考える。ギランは擬卵と書き、卵(何の卵か知らないが)に似ている果実をつけるということではないか。・・・どうでしょう。
 分布が石垣島以南となっていて、沖縄島には自生は無いようだ。写真は沖縄島の琉球大学のキャンパスにあったもの。沖縄島でも育つことは育つということであろう。
 幹や太い枝に直接つく果実が目立つ。花はイチジク同様に果実の中にある。これを無花果という。結実は春。サキシマスオウのように板根もよく発達する。

 実
 記:島乃ガジ丸 2006.9.2  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
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