デイゴ
 今日(5月2日)から沖縄は梅雨となった。平年より数日早いという。私の感覚では大型連休が終わると梅雨、であったが、今年は連休前の梅雨入りとなった。
 梅雨に入る前の3月から4月頃は、沖縄では爽やかな気候が続く。その頃の季節のことを沖縄では「うりづん」と呼んでいる。そして、「うりづん」の次にくる季節のことを「わかなつ(若夏)」という。「わかなつ」は概ね梅雨時となるが、晴れた日には海遊びに最も適した、真夏のギラギラ太陽とは違った穏やかな陽射しの季節となる。
 人間同様、植物もギラギラ太陽よりも穏やかな陽射しが好きなようで、「うりづん」から「わかなつ」にかけては、たくさんの花がその季節を迎える。沖縄の、県の花木にも指定されているデイゴもその一つ。「デイゴの花咲くうりづんの頃」とはよく使われる言葉である。真紅の花は、青い空に映えて見事に美しい。いかにも南国らしい花。

 『沖縄園芸植物大図鑑』にはデイコと名の付く木が10種類紹介されている。10種類もあるのかというのが正直な感想。そのうちの2種しか私は見てない。普通のどこにでもあるデイゴとマルバデイゴ。マルバデイゴは別名アメリカデイゴともいい、私の実家の近く、国道58号線の街路樹として植えられていたので知っている。
 普通のデイゴは普通にどこにでもある。学校や公園には必ずといっていいほど、何本かが植えられている。ガジュマルやモクマオウと並んで、ウチナーンチュにとって最も身近な、そして、よく知られた樹木であろう。
 成長が速く、背よりも幹の太り方が他の樹木に比べて著しく速い。ぐんぐん太る幹は変形する場合も多い。成長の速さについてける細胞と、そうでない細胞があるようなのだ。幹の中央にポッカリ窪みの空いたものをよく見る。女性の局部にそっくりな形のものを見つけて、下品な男子高校生どもは指差しながらヒッヒッヒと笑ったものであった。

 デイゴ(梯姑):公園・花木
 マメ科の落葉高木。原産分布はインド。方言名:ディーグ
 陽光地を好み、成長は速い。高さは10mほどで留まるが、幹は太り、枝を横に大きく広げ、根も地面に太く大きく張り出す。街路樹として植えられたデイゴが成長して、歩道を破壊し、結果、切り捨てられてしまったということを耳にしている。街路樹としてはあまり向かない樹木である。真紅の花、いかにも南国らしい花の開花期は3月から5月。沖縄の県花であり、オウゴチョウ、サンダンカと並んで沖縄の三大名花の一つ。
 材は、沖縄の伝統工芸である漆器の木地として古くから利用されている。

 花1

 花2

 実

 ついでに季節のこと
 うりづん:旧暦2、3月頃の季節を表すことば。大地が潤う爽やかな季節。
 わかなつ(若夏):旧暦4、5月頃の季節を表すことば。稲穂の出る柔らかな季節。
 記:2005.5.2 島乃ガジ丸  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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