ビルマネム
 大学は日本文学科出身の私であるが、社会人になってからの読書量は少ない。特に文芸書なんてのは、ここ20年で数冊読んだかどうかというくらい。今、私の書棚は漫画本が半数以上を占め、他にはパソコン、美術、工芸、旅行、植物関係などがほとんど。
 そんな私でも中学、高校の頃は文芸書を多く読んだ。国産、外国産に関わらず、有名どころはほとんど読んでいるかもしれない。読んでいるかもしれないが、その内容はどれ一つとしてしっかりとは覚えていない。友人たちと遊んだことや、好きだった女の子のことなどははっきり覚えているのにだ。そういうことから考えると、少年の頃の読書が人格形成に及ぼす影響はあまり無いのではないかと思う。友情の一つは100冊の読書に勝り、恋の一つは1000冊の読書に勝るのではないかと思うのである。

 竹山道雄の『ビルマの竪琴』も確かに読んでいる。おそらく中学の頃に読んでいる。第二次世界大戦の頃の話で、主人公は兵隊で、戦争が終わってもビルマに残って竪琴を弾いていた。などということが記憶にある。なぜ竪琴を弾いていたのか、竪琴が物語の中でどういう意味を持っていたかについては記憶が無い。物語のテーマが何であったのかも思い出せない。が、主人公の名前が今、ふと浮かんだ。確か、水島上等兵。
 そうだ、『ビルマの竪琴』は確か何年か前に映画化されたのであった。僧侶の格好をして竪琴を抱えている水島上等兵が、フェンスの向こうに立っている場面を思い出した。僧侶の格好は中井貴一ではなかったか。僧侶?そうだ、ビルマが仏教国であることも思い出した。そして、ついでに、ビルマという国が今は無い、ということも思い出した。

 東南アジアの西に位置する元のビルマは、1989年に国名をミャンマー連邦と改称されている。他所の国の名前にいちゃもんつける訳ではないが、ビルマという名前が無くなったのは惜しいことである。ミャンマーに比べたら耳障りの良い美しい響きの名前だと私は思うんだが、『ミャンマーの竪琴』ではイマイチしっくりこない。今回紹介する植物のビルマネムも、ミャンマーネムでは響きが悪く、覚えにくいであろう。

 ビルマネム(緬甸合歓):公園・街路
 マメ科の落葉高木 原産分布はインド、エジプト 方言名:なし
 マメ科は種子植物の中ではキク科、ラン科についで種の多い科で、その属も550から600もあるらしい。マメ科の下にネムノキ亜科、ジャケツイバラ亜科、ソラマメ亜科の3つの亜科があり、それぞれに多くの属を持つ。ネムノキ(合歓)はネムノキ亜科ネムノキ属のネムノキとなる。オオベニゴウカン、ギンネムとこれまでに合歓やネムと名のつくものを紹介したが、それらはネムノキとは別の属。今回紹介するビルマネムはネムとついていて、その通りネムノキ属の植物となっている。漢字の緬甸はビルマを指す。
 高さ10〜20m。陽光地を好み、成長は速い。細い糸が多数突き出て丸まったような花は薄い黄緑色。芳香があり、夜間に特に強く香る。開花期は5月から7月。樹形が乱れやすいので、適宜剪定する。材は建築材に用いられる。
 マメ科の植物らしく、花後は豆の入った莢をつける。20センチ余りの長さがあり、熟した莢は風に揺れるとカラカラ音を立てるとある。これは、まだ未確認。

 花
 実 
 記:島乃ガジ丸 2005.10.2  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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