ツルモウリンカ
 那覇市とその周辺に住んでいる人々には待ち合わせ場所として有名なパレット久茂地、その屋上庭園にある1株のソテツにクロマダラソテツシジミが群れているのを見た同じ日(2009年6月13日)、同じ場所で、ツルモウリンカに出会った。
 ツルモウリンカとはその時が初対面であったが、出会いたいと思っていた植物なので、図鑑の写真を覚えていて、すぐにそれと気付いた。
 有名なオウゴマダラ(オオゴマダラと表記されていることが多いが、私は敢えて黄金斑の意味でオウゴ)の食草ホウライカガミを知った時、ホウライカガミと見た目似ている植物で、アサギマダラの食草となっているツルモウリンカの存在も知った。以来、ツルモウリンカに出会いたいと思っていた。4年の歳月が流れていた。
 ホウライカガミと見た目似ていると書いたが、似ているのはツル性ということと花の形だけ。全体の姿は、ホウライカガミが上に伸びる感じなのに比べ、ツルモウリンカは分枝が多く、こんもりとした形になる。もっとも、ホウライカガミはキョウチクトウ科で、ツルモウリンカはガガイモ科、種も遠い。

 ツルモウリンカ(蔓茉莉花):フェンス
 ガガイモ科の蔓性多年草 九州以南、南西諸島に分布 方言名:ウシヌハナフガサー
 モウリンカはマツリカ(茉莉花)のこと。マツリカはジャスミンティーのジャスミンのことでモクセイ科の植物。本種はガガイモ科なので種としては遠い。
 遠いマツリカと何かが似ているのであろうが、何が似ているのかどの文献にも記載がない。花に香りがあるとも書かれていない。花の形も似ていない。私の見るところ、葉は似ている。ツルは蔓性という解りやすい理由。マツリカも半蔓性だが。
 方言名のウシヌハナフガサー、和訳すると「牛の鼻の穴をあける」となる。面白い名前だが、由来は不明。匂いで鼻の穴が開くのか?塙に関係あるのか?
 海岸の岩場、砂地に自生する。分布は九州以南、南西諸島としてあるが、『琉球弧・野山の花』には伊豆七島にも分布するとあった。
 茎の長さは30〜100センチ。葉脇から集散花序を出し、数個から十数個の花をつける。花は淡黄色の小さな星型。開花期は5月から9月。
 チョウに興味のある人にとっては、アサギマダラの食草として有名。

 花

 実
 記:島乃ガジ丸 2009.7.18  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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