グンバイヒルガオ
 2年ほど前、茅ヶ崎を旅した。確か(たった2年前でもはっきり覚えていない)季節は5月頃で、柔らかな陽射しと爽やかな風が吹いていた。海岸を散歩する。茅ヶ崎の海と言えばサザンオールスターズ。「チャコの海岸物語」なぞを口ずさみながら歩く。
 私はダンスに興味が無く、ただ抱いていればいいチーク以外はまったく踊れないし、踊った経験も無い。よって、ジルバと言われても、それがどんな踊りなのかさっぱり分からない。それでも「裸で踊るジルバ」なんて歌っていると、浜辺で美女と二人、裸になってジルバなるものを踊ったら気持ちいいだろうなあ、と想像する。ジルバなるものが激しい踊りだとチンチンブラブラして痛いかもしれないなあ、などとも想像する。
 茅ヶ崎の海岸にはいたるところに竹垣が設置されていた。庭があるわけでも無く、竹垣の内側に植物も無く、植物を海風から守るためのものでも無さそう。不思議に思いつつさらに歩いていると看板があった。竹垣は砂防用であると書かれてあった。

 それよりさらに数年前、渡名喜島を訪れたとき、部落の、海岸に向かっている道路の、その出口の全てに鉄製の引戸門扉が設置されてあった。それらも砂防用であった。砂防なら植物でやればいいじゃないか、植物で砂浜を覆い、砂が飛沫するのを防げばいいじゃないかと、その時思った。景観上も、自然に対する優しさの面でも、植物の方がずっと良いと私は思う。そりゃあ鉄の扉に比べたら砂防の能力は多少劣るかもしれないが、景色の柔らかさを考慮に入れてその優劣を判断すれば、植物の方に私は軍配を上げたい。

 グンバイヒルガオ(軍配昼顔):地被
 ヒルガオ科の常緑蔓性草本 九州南部、南西諸島、他に分布 方言名:アミフィバナ
 軍配とは軍配団扇(ぐんばいうちわ)の略で、「武将が軍陣で采配の代りに用いた具」(広辞苑)のことを指す。あるいは、「相撲の行司が力士の立合いや勝負の決定を指示するのに用いる具」(広辞苑)のことを指す。両者とも形は同じ。その形に葉が似ていて、花がヒルガオに似ているのでグンバイヒルガオという名になっている。
 ほふく型の蔓性植物で地被植物として扱われる。元々海岸の浜辺に自生するもので潮風に強く、海岸の防砂植栽としてよく用いられる。
 陽光地を好み、そのような環境では花もよく咲かせてくれる。ヒルガオに似た青〜赤紫の花は5月から10月に開花。葉を揉むと強烈な臭気を出す。

 花
 記:島乃ガジ丸 2005.12.12  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
inserted by FC2 system