バラアサガオ
 思いがけない所で思いがけない人に会う、という経験が私には1度ある。大学一年の冬だったと記憶しているが、友人(ウチナーンチュ、高校の同級生)たちと、「歌に名高い江の島へ行ってみるか」と思い立ち、出かけた。その江ノ島で高校の同級生であった女子二人に会った。全くの偶然だ。彼女達もたまたま来ていたらしい。
 思いがけない所で思いがけない人に会うという経験は、もしかしたらもっとあったかもしれないが、記憶にあるのはそれ一つだけ。例えば飲み屋で「やー、久しぶり」なんて声をかけられたことがあるかもしれないが、記憶には残っていない。道端で「あら、久しぶりねぇ」と女性から声をかけられたことは2度あり、それは覚えている。その女性が誰だったか思い出せなくて、失礼なことをしたという思いが残り、覚えている。

 思いがけない所で思いがけない花に会うという経験は何度かある。今年(2011年)10月、実家の近くの小学校の裏道をブラブラ歩いていたら、校庭の一角に黄色い花が咲いているのを見つけた。「アラマンダにしちゃ小さいな」と思いつつ近づいていく。
 「あっ、これがバラアサガオかもしれない」と頭の中に記憶している図鑑の写真を引っ張り出す。「バラのようなアサガオっていったいどんな花?」と興味を持っていたので覚えていたわけ。これまであちこちの公園、散歩途中の民家の庭などを数多く見ているが、バラアサガオは「初めまして」だった。ただ、花はちっともバラのようではなかった。

 バラアサガオ(薔薇朝顔):パーゴラ、フェンス
 ヒルガオ科の蔓性多年草 熱帯アフリカ 方言名:不詳
 『亜熱帯沖縄の花』に名前の由来があった。要約すると、「花が終わるとがく片が閉じて蕾のような茶色の実ができる。・・・その後、開花するかのようにがく片が種子を抱いて開く。・・・その実の形がバラの花に似ている。」ことからバラ、花の形がアサガオに似ているところからアサガオとつく。ちなみにアサガオとは同科別属。
 別名をウッドローズと言うが、これは英名で、これも「バラに似ている」ところからきている。他にセイロンアサガオという別名もある。
 葉はモミジの葉に似ていて、同じくモミジの葉に似るモミジバヒルガオよりも大型。ちなみにモミジバヒルガオはアサガオと同属(Ipomoea)で、本種はMerremia属。
 本種の学名は、Merremia tuberosa (L.) Rendle.
 モミジバヒルガオは、Ipomoea cairica
 原産地、『亜熱帯沖縄の花』にはインドとあったが、別の文献には熱帯アフリカとあった。ここでは多数決で熱帯アフリカとした。
 他のものに絡みついて伸び、パーゴラ、フェンスなどの装飾に向く。成長が早く、萌芽力が強い。花色は黄色、開花期は10月から12月。

 花
 記:島乃ガジ丸 2011.12.6  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
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