スイセン
 スイセンは漢字で水仙と書くが、仙は仙人の仙。仙人は「道家の理想的人物。人間界を離れて山中に住み、穀食を避けて、不老・不死の法を修め、神変自在の法術を有するという人。」(広辞苑)とのことらしいが、私の脳にある辞書では「山中に住み、霞を食って生きている人」となっている。「霞を食って生きている」→「食物を買わなくていい」→「お金が無くてもいい」→「金のために働かなくていい」→「のんびり生きていける」ということになり、仙人は、私の憧れの人となっている。
 仙という字は、「人+山」で、山中に住む人をあらわすとのことだが、また、仙は通貨単位セントを表す。セントはアメリカ合衆国の通貨、ウチナーンチュには馴染み深いものであるが、ドルが弗ということは知っていたが、セントが仙であることを今回、私は初めて知った。PCで「doru」を変換すると弗が出てくるが、「sennto」を変換しても仙は出てこない。セントが仙であることは、おそらく、そう有名ではないのだろう。

 スイセンの学名はNarcissus tazetta L.という。この属名のNarcissusはナルシストのナルシスである。ギリシャ神話だったか、水面に映る我が姿に見とれて溺れたとかいう話があったように記憶している。私はナルシストでは無い。そのような造作の顔を持ち合わせていないからだ。よって、俗世を離れた仙人になりたいと思ったりするのだ。

 スイセン(水仙):花壇・切花
 ヒガンバナ科の多年草 地中海沿岸原産 方言名:シーシン、ジンデーク
 水生植物では無いが水と名がつく。水仙は漢名とのこと。仙はおそらく仙人のことを指し、水辺(スイセンは海岸に自生)に住む仙人の姿に喩えたのかもしれない。その想像する通り、葉も花の姿も凛として、気品がある。
 古い時代に日本に渡来し、日本の暖地海岸に自生する。その多くは純白の花。長さ20〜30センチに伸びた花茎の先端に数個つける。開花期は12月から2月。園芸品種が多く、花色も白、黄の他、赤、桃など、また八重咲き種もある。
 地下にラッキョウのような鱗茎を持つ。それを残しておけば毎年花を見せ、それを採取すれば秋植え球根として扱える。鱗茎は薬用にもなる。
 記:島乃ガジ丸 2006.8.27  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
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