スギノハカズラ
 スギノハカズラを調べるため図鑑を開いたら、学名がAsparagus となっている。これを私は見逃さなかった、と威張る程のものでは無い。何しろ『沖縄野外観察図鑑』のページ体裁は、そのページで紹介する植物の、その名前のすぐ下に学名が記載されているので、大抵は目に入る。「アスパラガスって、あの美味しいアスパラガスか?」と驚く。
 しかし、驚いたのはほんのちょっとの間で、すぐに「あー、確かアスパラガスの仲間には観葉植物もあったな」と思い出す。野菜としてのアスパラガスを私は既に紹介していて、その中で「クサスギカズラという和名があり、それはおそらく、枝葉が杉に似て、這う性質がある草、ということから草杉葛なのであろう」と私見も述べている。
 食用となるアスパラガスはクサスギカズラ(草杉葛)で、観葉植物となるアスパラガスはスギノハカズラ(杉葉蔓)ということのようである。私も1つ賢くなった、のだが、それもほんのちょっとの間で、数日後にはきっと忘れているはず。

     
     
 「忘れているはず」と書いて思い出した。畑にアスパラガスが2株あって、その中の1株が大きく育って、1週間ほど前に芽が1本、10センチ程に伸びているのを発見。「数日後には収穫できるな」とニンマリしたではなかったかと。翌日、畑へ出掛けアスパラガスを確認。その芽は既に手遅れだったが、新たに芽が出ていた。それが上の写真。
 
 スギノハカズラ(杉葉蔓):鉢物・花壇
 ユリ科の多年草 南アフリカ原産 方言名:不詳
 名前の由来は『沖縄野外観察図鑑』に「杉の葉に似ているところから、スギノハカズラの名がつけられました」とあった。カズラとあるが、どの文献でも蔓植物とは分類されていない。ただ、『グリーン・ライブラリー』に「小さな棘を持ち、灌木によじ登る性質がある」と書かれており、そういうところからカズラに見間違えるのかもしれない。
 茎は根元から叢生し、長さ1〜2mまで伸び、先端は垂れ下がる。葉に見えるものは仮葉(かよう)、または偽葉(ぎよう)と呼ばれるもので、「植物の葉柄部分が扁平化して、葉身のような外形と機能をもつもの」(広辞苑)のこと。
 春にピンクがかった白い花が咲き、6ミリ以下の赤い実を着ける。私が見たものは民家の玄関前にあった鉢物で11月下旬の状態。白い花も赤い実も未確認。
 
 実
 記:島乃ガジ丸 2017.9.9  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 
inserted by FC2 system