シチトウイ |
畳を新調した時、「イ草の匂いがいいねぇ」などと誰かからしか感想が出る。イ草の匂いは私も良い匂いだと思う。食べたいと思うほどでは無いが。 イ草は畳表に使われる。表替えと言って畳表だけを新調することがある。畳表だけでも新しければ「イ草の匂いがいいねぇ」となる。そして、表だけでも新しければ、その畳は青畳と呼ばれる。イ草の色が草色をしていて若々しいからだと思われる。 青畳と言うと、私はしかし、嫌なことも思い出す。高校の体育の授業に柔道の時間があって、その時間を思い出し、汗まみれで汗臭い男同士が組んず解れつして嫌な時間だったことを思い出す。相手が可愛い女子だったら最高の時間になっただろうが。 柔道場の畳に使われる畳表の多くはシチトウイであることを今回知った。シチトウイは七島藺と書くが、イ(藺)草の藺とは別科。シチトウイはイ草より強度があり、よって、強度の必要な柔道用の畳表に適しているというわけ。 新しい畳表であっても、高校の柔道場の畳の匂いは男の汗臭さであり、何故かザーメンの匂いまでもした。・・・青春の匂いだったかもしれない。 シチトウイ(七島藺);畳表や茣蓙の材 カヤツリグサ科の多年草 熱帯アジア原産 方言名:不詳 名前の由来は広辞苑に「七島産の藺の意」とのこと。ここで言う七島とは、これも広辞苑に「鹿児島の宝七島、すなわち吐喇(とから)列島」とある。別名リュウキュウイとも言うので琉球列島にも産していたのであろう。イ(藺)はイ草(畳表に使われている)のイで、おそらく漢名だと思われる。ただし、本種はカヤツリグサ科で、イはイグサ科。 吐喇列島や琉球列島に産したといっても、元から自生していたわけでは無いようで、原産地は熱帯アジア。有用植物として渡来したもの。何に有用かというと、畳表や茣蓙などの材料として有用ということ。その用として古くから栽培されていたようだ。 棹の高さは150センチほど。棹の上部は三稜柱状になっており、そこからサンカクイという別名もある。湿地に生えるが、多くは水田に栽培される。 ビンゴイより見た目は劣るが強度があり、柔道用の畳表などに使われる。 |
記:島乃ガジ丸 2013.2.12 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行 |