ナガボソウ
 日曜日(11月13日)、散髪屋へ行った。散髪屋のオヤジはアウトドアの好きな、去年だったか初孫の生まれた陽気なオヤジ。陽気ではあるが、私のザビエル禿げをとやかく言わないという礼儀も持ち合わせた人。
 禿については何も言わないオヤジだが、今年の初めくらいの頃から毎度毎度訊かれることがある。「眉毛、切るねぇ」と言うのだ。「最近は女みたいに眉毛を剃って細くする男もいるよー」と言う。「剃るまではしないけど、あんたの眉毛は長いからねえ、少し切った方がいいんじゃないかと思うけどねぇ」と言う。確かに私の眉毛は長い。3センチほどの毛がふさふさ生えている。頭頂部に欲しいくらいだ。でも、私は断っている。
 眉毛を剃って細くする化粧はいつごろから始まったのだろうか。私が大学生の頃は自然のままの眉毛が、テレビタレントなどにも多かったと思う。その方が見た目優しく見えるのではないかと私は思うんだが・・・。2年ほど前、姪(当時27、8才)とデートしたとき、彼女の人相が変わっているのに驚いた。優しい顔だったのが少しきつい顔になっている。まじまじと彼女の顔を見つめたら、眉毛が長細くなっていたのだ。
 NHKの日曜美術館を観ていたら、ゲストの30代くらいの女性(たぶん芸術家)が太い眉であった。おそらく加工していない自然のままの眉。「やったぜ!」と思う。流行に流されないきっぱりした女も世の中にはいるんだ、と安心する。

 植物のナガボソウは全体が長細い草というわけでは無い。茎や葉が長細いというわけでも無い。写真を見れば分るが、その花穂が長い。長い穂の草ということ。他の草花に比べると花は小さく、あまり目立たない。花の付き方も少し変。”変”はしかし「オマエ変だぜ」なのでは無く、「オマエ個性的だな」ということ。自然の形、そのものの個性。

 チリメンナガボソウ(縮緬長穂草):花壇
 クマツヅラ科の多年草 アメリカ原産 方言名:なし
 長い穂を持っているのでナガボ(長穂)、葉の表面ににしわがあり縮緬状をしているのでチリメン(縮緬)。縮緬状の葉は、同じクマツヅラ科のランタナに似ている。
 フトボナガボソウに比べると穂が長く、穂の先が細い。分枝が多く、草丈は1〜2mとフトボナガボソウよりひとまわり大きい。
 茎の先端から長い(30〜60センチ)穂状花序を出し、穂の下の方から上に向かって3〜5輪ずつ咲いていく。花は径1センチ程の濃紫色。花期は4〜11月。 
 花の群れ


 フトボナガボソウ(太穂長穂草):花壇
 クマツヅラ科の多年草 熱帯アメリカ原産 方言名:バクダングサ
 長い穂を持っているのでナガボ(長穂)、チリメンナガボソウに比べ穂が短くずんぐりしているように見えるのでフトボ(太穂)とつく。
 チリメンナガボソウとの大きな違いは葉の形状。こちらは縮緬状ではなく、少し照りがある。花の色もこちらは淡い紫色。草丈は50〜100センチ。
 茎の先端から長い穂状花序を出し、淡紫色の花をつける。花期は5〜11月。

 花
 記:島乃ガジ丸 2005.11.14  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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